ドクターZは知っている

増税の悪影響こんな数値にも表れている

2014年11月30日(日) ドクターZ
週刊現代
upperline
〔PHOTO〕gettyimages

ミシガン大学が集計している米国の「消費者信頼感指数」の11月速報値が発表され、'08年のリーマンショック以降最高の89・4を記録した。日本では普段あまり耳にしない指標だが、いま日本でこの値を集計したら、どのような結果が出るのだろうか。

この「消費者信頼感指数」とは、ミシガン大学のサーベイ・リサーチセンターが全米の消費者のマインドを探るために集計している指標だ。毎月、第2または第3金曜日に速報値が、最終金曜日に確報値が公表されている。

指標は、アンケート調査で現在と将来の景況感、雇用状況、所得(自動車・住宅の購入計画)について「楽観」か「悲観」かを回答してもらい、その結果を指数化して作成する。

同様の指標として、全米産業審議委員会という民間の調査機関が公表している消費者信頼感指数もある。こちらはアンケート対象者が5000人と、ミシガン大学の500人(確報値のとき。速報値では300人)よりも大きいのが特徴だ。いずれの消費者信頼感指数もNYダウとの相関が強く、株価を先取りするとして注目されている指数である。

日本では、外資系カード会社などで、似たようなアンケート調査によって指標を出しているところもあるが、政府統計の中では内閣府による「消費動向調査(消費者態度指数)」が同様の指標といえる。

この「消費動向調査」は、全国8400世帯程度を対象として、消費者意識の調査を毎月行うというものだ。具体的には、今後の暮らし向きの見通し、世帯収入の増え方、職の安定性・見つけやすさ、耐久消費財の買い時、所有している株式・土地の資産価値それぞれについて、今後半年間でどうなるかを、「良くなる」、「やや良くなる」、「変わらない」、「やや悪くなる」、「悪くなる」の5段階で回答してもらって、それらを指数化している。

その結果として弾き出される消費者態度指数は、株価と弱い相関があるが、値動きの予測に利用できるほどではないので、日本では残念ながらアメリカほど注目されていない。ただし、それなりに消費者マインドを反映していることは確かだ。

最近の消費者態度指数の推移をみると、'08年のリーマンショックの影響で'09年1月に27・5と最低値になった後、40台にまで回復したが、東日本大震災によって'11年4月に33・2まで急落。その後は40まで盛り返し、自民党に政権交代すると、'13年5月に45・4とリーマンショック以降の最高値を記録した。

ところが、同年10月に消費税増税を決定した途端、じりじりと下げて40前後で推移するようになり、直近の'14年10月には38・9となっている。

民主党政権時代に成立した消費増税法による増税は、日本経済を急落させた。「増税しても影響は軽微」と言い続けた財務省、エコノミストや学者、そしてマスコミの強力なプロパガンダにもかかわらず、現実には、4月からの増税によって、4~6月期の実質GDPは前期比▲7・3%(下方修正値)と大きく落ち込み、そのリバウンドが期待された7~9月期も▲1・6%と2期連続のマイナス成長だった。2期連続のマイナスは、すなわち景気後退である。

増税の悪影響は、1年前からの消費者態度指数の低下によって予見されていたかのようだ。増税派の人はウソをつくが、統計データはウソをつかない。

『週刊現代』2014年12月6日号より

 

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」
価格:1000円(税抜)


各国の「友人」からもたらされるディープな情報と、プロだからこそ読み取れる行間のシグナルをもとにした的確かつ深みのある「インテリジェンス・レポート ―分析メモ―」、月平均300冊を読破する佐藤氏がいま読むべき本を紹介するとともに、その読みかたを指南する「読書ノート」、読者からの質問すべてに答 える「質疑応答」、佐藤氏出演の文化放送「くにまるジャパン」発言録、今後の予定を配信。既存の媒体では決してよめない「情報」をぜひお楽しみ下さい。

※メルマガ会員の方へはepub版を無料提供!
※お申込み月は無料で読めます。
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン
価格:400円(税抜)


読者とともに今の日本の問題点や、ニュースの深層、報道されない政治の読み解き方などを解説、分析し、読者とそれを共有しながら「日本再生」を創造してい く試みのメルマガです。第2金曜日は、ニュース解説に加え、読者からの質問に古賀さんが答えるテキストのメルマガを、第4金曜日にはゲストを交えての議論 や時事解説などを収録したメルマガ動画版を、さらに第1金曜日は、読者から多数の要望があった、収録動画をテキストにしたメルマガを配信しています。

※メルマガ1ヶ月分をepubにまとめた「1ヵ月おまとめ版」を無料提供!
※お申込み月は無料で読めます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事