牧野 洋の「メディア批評」
2014年11月28日(金) 牧野 洋

米名門紙ワシントン・ポストがアマゾン創業者ジェフ・ベゾスの下で復活の兆し!

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ワシントン・ポスト紙の現社主ジェフ・べゾス氏 〔PHOTO〕gettyimages

「復活するワシントン・ポスト」

日本とは比べものにならないほど厳しい経営状態に置かれているアメリカの新聞界。救世主になれる人物がいるとしたら誰か。それは米アマゾン・ドット・コム創業者兼最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏かもしれない。2013年8月にベゾス氏への身売りを決めたことで、米名門紙ワシントン・ポストが復活の兆しを見せているのだ。

ベゾス氏の100%個人所有になって以降、ポスト紙は年中行事のように行っていた人員解雇をストップ。それどころか今年に入って100人以上も記者を新規採用し、編集局の陣容を700人近くまで回復させている。

10月6日付の米ニューヨーク・タイムズは文字通り「復活するワシントン・ポスト」と題した記事を掲載。ポスト紙編集主幹マーティン・バロン氏に取材しながら、買収後に編集部門の職場環境が様変わりしたことを紹介している。

記事中でバロン氏は「記者の士気を高めるには、組織に支えられているという意識を持たせる必要があります。同僚の解雇を目の当たりにすることもないし、自ら失職する不安に常に悩まされることもない。そうすれば記者は仕事に集中できます」としたうえで、「ジェフが来たことで職場の雰囲気は前向きになりました」と語っている。

同時に、ポスト紙は「成長分野はデジタル」という方針を明確に打ち出した。今月にはアマゾン製タブレット端末「キンドルファイア」向けに新アプリを開発し、当面はポスト紙のコンテンツを無料で読めるようにした。ベゾス氏による買収後、デジタル事業強化に向けたアマゾンとのコラボ第1弾だ。

新アプリはホームページを無くすなどで「認知オーバーヘッド」を最小にし、コンテンツの消費を容易にしている。認知オーバーヘッドとは、欲しい物にたどり着くまでに消費者が強いられる選択や判断などの負担のこと。認知オーバーヘッド最小化はアマゾン流であり、代表例がオンラインショッピングを簡単にする「ワンクリック」システムだ。

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