沼口麻子の「サメに恋して」
2014年11月30日(日) 沼口 麻子

千葉に出現トドに謎の傷跡のこしたダルマザメを追って
サメ漁獲量日本一の気仙沼港に着いた

upperline
メカジキに見られるダルマザメの噛み跡

ダルマザメはどうやって捕食をしているのか?

「ダルマザメはどうやって獲物に近づいて捕食しているのでしょうか」

千葉県・九十九里浜に漂流したトドの体表についていた小さくてまあるい奇妙な痕跡が、サメの噛み跡であったと前回の記事で紹介した。それはダルマザメというサメであり、大人になってもせいぜい50cmくらいにしかならない小型のサメにもかかわらず、クジラなど自分よりもはるかに大きな生き物等をターゲットにして、その肉の一部をえぐりとって捕食する。

これはその話を読んでくれた方が抱いた疑問である。

「……たとえばなのですが、ターゲットとする大型生物が好むイワシの群れの中に混ざって、待ち伏せしているのでしょうか」

たしかに体の小さな生物は、はるかに大きな生物よりも遊泳力が低く、まともに勝負をしたら追いつけるはずもないだろう。であるならば、チョウチンアンコウがエスカという疑似餌でターゲットをおびき寄せるのと同様に、ターゲットとした餌生物が自ら寄ってくるような策を高じるのは、とても理にかなっている。

貴重なダルマザメの遊泳映像
https://www.youtube.com/watch?v=Gy6G_CC77e8

ダルマザメをCGで表現している映像
BBC: Perfect Shark - Cookie Cutter Shark
https://www.youtube.com/watch?v=syISlRJTaw4#t=17

ダルマザメは、首もとには黒いバンド模様、お腹側等に発光器を持つ。ダルマザメと、それよりさらに小さな近縁種であるコヒレダルマザメは、発光器を使い、獲物になりそうなものをおびきよせている可能性があるという(山口敦子著『サメのなかま』より)。そんなことをすると、逆にターゲットに捕食されてしまうのでは?と心配になるが、これがかれらのやり方らしい。しかしながら、仲谷一宏著『サメのおちんちんはふたつ』によれば、世の中で誰ひとりとしてその様子を見たことがないという。つまり、海中におけるダルマザメの捕食シーンを見た人がいないので、その質問の真偽のほどはわからないのだ。

海の中での観察も難しければ、神出鬼没で採集も難しい、ということは、ダルマザメの生態については、かれらの残した噛み跡から想像するしかないようだ。

次ページ 日本にはその噛み跡を観察するこ…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事