【ギャンブル依存症のリアル】「まるで覚せい剤のよう…」どっぷりハマった夫婦の実話
いかにして"どん底"から這い上がったのか
10月に与野党7人の国会議員を招いて開催した「カジノ導入とギャンブル依存症対策を考えるシンポジウム」。カジノ法案審議のタイミングと重なり、注目を浴びた。(撮影・新田哲史)

もしも、家族のポケットから定期入れが落ちて、そこから消費者金融のカードが11枚も出てきたら、どんなに驚き、戸惑い、絶望的な気持ちになるだろうか---。そんな壮絶な体験をしたのが、一般社団法人「ギャンブル依存症を考える会」の田中紀子代表だ。

ギャンブル依存症を巡っては厚生労働省の研究班が今夏、疑いのある患者が536万人いると打ち出し、衝撃を与えた。カジノ解禁が現実味を帯びるとともに、その注目度は上昇しているが、そもそも患者の実態はどういうものなのか? 彼らはなぜギャンブルに「ハマって」しまうのか? ---田中さんが現代ビジネスに手記を寄せ、夫の作った借金地獄から回復に至るまでの壮絶な体験、社会や政治ができる対策について率直な思いをつづった。

ギャンブルの負けはギャンブルで取り戻す!

私が今の夫と結婚したのは1998年。その頃、私は大学病院に勤める傍ら、ダブルワークでアルバイトをしていたのですが、そのバイト先で知り合いました。夫は早稲田大学の"6年生"でした。ギャンブルにのめり込み過ぎたのが原因で留年をくり返していたのです。

ある日、バイト仲間と一晩中遊ぶ機会があったのですが、夫が徹夜明けで競艇に行くと言い出し、好奇心から私も付いていくことになりました。

社交的で穏やかな性格の夫は、バイト仲間の間でもリーダー的な存在だったのですが、競艇場に着くと人格が豹変しました。突然「ごめんよ~、どいてどいて~」と先頭に割り込んで行き、「オラ! まくっていけ~!」と、どなり声を上げるのです。まだ若かった私は、びっくりすると同時に、そんな彼を「男らしい」と勘違いして、交際するようになりました。

夫が無類のギャンブル好きであると分かるまでにさほど時間はかかりませんでした。私自身もギャンブルが好きなので、デートはもっぱらマージャン、競艇、競輪、競馬、そして海外のカジノから日本の闇カジノまで・・・暇さえあれば、常にギャンブルをしている状態でした。時には、一晩中マージャンに興じた後、「旅打ち」と称して、朝から関西や中国四国地方の競艇場に向かったりもしました。

競艇だけでは飽き足らず、競艇場に居ながら、スポーツ新聞を片手に全国の競輪、競馬に電話投票もしました。さらには「スクラッチ宝くじ」を買いこみ、ガリガリと削りながら歩いたこともありました。私たち馬車馬のように働きましたが、当然、稼いでも稼いでもお金が追いつかず、あっという間に消費者金融に手を出して借金地獄に陥りました。