アベノミクス失敗の本当の理由は 「第2の矢」=バラマキのミスだ

2014年11月25日(火) 町田 徹
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しかし、筆者は、もう一つ、アベノミクスの失敗を助長した大きな問題があると考えている。これまでほとんど批判の対象になっていない「第2の矢」、つまり財政政策の問題だ。「3本の矢」のうち、政府がばら撒くだけの財政政策は、最も即効性の期待できる政策だ。だが、安倍政権は、そのバラマキのタイミングと金額を間違えたのではないだろうか。

補正予算の支出を半分強に減らすという“暴挙”

具体的に見ていこう。安倍政権が「第2の矢」として行った最初の財政政策は、2012年度補正予算だ。政権発足から20日後の2013年1月15日に閣議決定し、翌2月26日に成立したもので、規模は10.2兆円。これは、2009年度の第1次補正(14.7兆円)に次ぐ史上2番目の大規模補正だ。この補正を2013年度当初予算(92.6兆円)とあわせて「15ヵ月予算」と称して経済を刺激する施策をとったのだった。この政策はそれなりに功を奏した。日本経済は2013年1~3月期から翌2014年1~3月期までの間、5期にわたって概ね順調な成長を維持できた。GDPの伸び率は、順に、5.6%、3.2%、2.4%、-1.6%、6.7%となっている。

問題はこの後だ。財政再建下での厳しい予算編成であり、決して油断したわけではあるまいが、安倍政権は2013年度補正予算を5.5兆円と前年度補正より5兆円近く減らした。5兆円と言えば、日本のGDP(実額、2013年度で529兆円)の1%弱に相当する。2014年度の当初予算と合わせた15ヵ月予算ベースで見ても、政府支出が大きく落ち込んだ。

これではひとたまりもない。5%から8%への税率引き上げが決まっていた2014年4月の消費増税を前に、駆け込み需要が見込まれる中で史上2番目の財政支出(バラマキ)を行い、経済のエンジンをふかした以上、いきなり政府支出を減らすのはリスクが大きいからである。

ところが、安倍政権は、実際に増税が行われて駆け込み需要が消滅するうえ、上がったばかりの高い税率を嫌って節約ムードが高まり買い控えが起こって、個人消費や企業の設備投資が落ち込むのが確実な時期に、政府部門が補正予算の支出を半分強に減らすという“暴挙”に踏み切ったのだ。「機動的な財政」とは正反対の財政政策を繰りだしたと言い換えてもいいだろう。これが、2014年4~6月期のGDP伸び率が歴史的な落ち込みとなっただけでなく、続く7~9月期もマイナス成長から抜け出せない原因であり、“氷河期”を招いてしまった元凶なのだ。

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