プロ野球移籍か、残留かFA選手たちの決断
オリックス・平野佳寿 中日・山井大介
ロッテ・成瀬善久 阪神・鳥谷敬ほか

新たな舞台へ挑戦したい。育ててくれたこの球団で優勝がしたい。FA選手たちが会見で語る言葉はいつもシンプルだが、その決断の背景にはそれぞれのドラマがある。男たちが胸の内を語り尽くす。

カネより夢を選ぶ

いま、日本プロ野球界で空前のマネーゲームが起きている。

巻き起こしたのは、今季沢村賞を獲得したオリックスのエース・金子千尋(31歳)。今年国内FA権を取得した金子は、3度にわたる球団との交渉の末、FA権を行使する道を選んだ。

「オリックスが残留のために提示していたのは『3年15億円』。一方、ソフトバンクや阪神といった金満球団は、『4年20億円』の超大型契約を引っさげて獲得に乗り出しました。このままいけば、オリックスは大エースをライバル球団に奪われてしまう。そうなるくらいなら、ポスティングでメジャーへ送り出し、移籍金の20億円を得たほうがいいのでは、という話も球団内では出ています」(オリックス球団関係者)

例年以上に、FA選手の去就をめぐる動きが活発な今年のストーブリーグ。

「すべての可能性を考えていきたいということで、こういう形になりました」

そう語る金子のように、あくまでドライに、より自分を高く評価してくれるチームを求め、FAを宣言する者。カネではなくチームへの愛を貫き、残留を選ぶ者。FA権を獲得した選手たちの決断は様々だ。

阪神が生んだ「孤高のヒットマン」鳥谷敬(33歳)。鳥谷が選んだのは、チームを去り、メジャーへと挑戦する道だった。

「類いまれなバットコントロールと選球眼。そして怪我の少ない屈強な身体。阪神一筋11年の鳥谷は、チームの象徴とも言える選手です。それだけに、阪神は引き止めのために、『7年30億円』とも言われる大型契約を用意しました。しかしそれでも揺るがないほど、鳥谷のメジャー挑戦の意志は固かった」(阪神球団関係者)

ただ、未だ日本人の内野手がメジャーで活躍した前例はない。西岡剛、松井稼頭央、岩村明憲、井口資仁……。日本では名手として鳴らした選手たちがみな、メジャーではまるで通用しなかった。それだけに、鳥谷の挑戦に対しても懐疑的な声は多い。

だが、たとえ失敗に終わっても挑戦は評価するべきだと語るのは、かつてヤクルトから巨人へとFAで移籍した広澤克実だ。

「巨人へ移籍当初、結果を残せなかったこともあり、『FAで失敗』したという声は非常に多かった。ですが、後悔はありません。私だけでなく、自らの意志で移籍を選ぶ選手はみな、悩み抜いた上で決めている。ファンから批判されることも、失敗に終わることも、覚悟しているんです。勇気を持ってFAを選んだ選手たちを私は応援したい」