ケンブリッジで身につく、自ら学問の世界を切り開き、自分を磨く「独学」の力

<現地レポ>ケンブリッジ授業潜入
木下 里和(きのしたさとわ)
ケンブリッジ大学 学士課程 自然科学専攻2年生
1995年長野県上田市生まれ。5歳から米国ワシントンD.C.に移住し、現地高校(National Cathedral School)を卒業。2013年からセントジョンズカレッジで自然科学(化学)を専攻。カレッジの聖歌隊で活動しながら、日英会、International Students Union、Engineers without Borders (国境なきエンジニアNGO)などのソサエティーの委員も務める。自然環境問題に関心を持ち、ランニングなど体を動かすことが趣味。
柴田智仁(しばたともひと)
ケンブリッジ大学 学士課程 自然地理学専攻3年
1993年スイス・ジュネーブ生まれ。ジュネーブ・インターナショナルスクールにて国際バカロレア(IB)を取得し卒業。2012年よりキングズカレッジで自然地理学を専攻中。主に気象学・火山学・氷河学といった自然環境科学を専門とする。大学では学生自治会にあたるKing’s College Students UnionやInternational Cambridge University Students Union で活動しながら、現在はケンブリッジ日本人会 (Cambridge University Anglo-Japanese Society)の会長も務める。旅行が趣味で、インドやケニアでボランティア活動の経験を持つ。

各学期につき、8週間しかないケンブリッジ。いよいよ1学期(通称Michaelmas Term) も終盤、7週目に突入した。日が沈むのが早くなり、気温も下がり、空も心もどんよりとする日々が続く。そんな中、今回はケンブリッジ大学での授業は、一体どんな内容で、どのように進行していくのかを紹介しよう。

講義とスーパービジョンの熱い日々

オックスフォード・ケンブリッジ共に、他の大学にはない独特な授業形式を伝統として維持し続けている。それは、講義とは別にスーパービジョン(ケンブリッジ)・チュートリアル(オックスフォード)という、学生と教授が1対1もしくは1対2で授業を行うシステムがあることだ。科目によりスーパービジョンの形式や数は異なるが、講義で習った内容の理解度を確かめ、次のステップへと発展させながら、1時間にわたってその分野について教授と熱く語る時間となっている。

文系科目は一般的に週1~2回スーパービジョンの時間が設けられ、スーパービジョンではあらかじめ提出したある特定の分野のエッセー(週1~2の頻度)に関して議論することが求められる。理系科目の場合、スーパービジョンの数は多くなる傾向にある。事前に渡された問題を解いたもの等を提出し、それの答え合わせをしたりなど、形態も文系とは少し違う。講義の量も科目ごとに変動するが、週4~16時間ぐらいである。

また理系の科目だと、講義とスーパービジョンに加えて、実験授業も加わる。講義で習い、その後、講義の内容をもとに問題を解いたり、文献を読んだりしてスーパービジョンに備える。こうした講義に続くスーパービジョンという二重構造で学生の科目の理解度、そして応用力を磨いていると言える。

広くて深いケンブリッジの学問の世界

ケンブリッジでの学問の世界は広く、深い。リベラルアーツ教育とは異なり、専門性を大学入学時より決める形になっているため、どの科目においても幅広い知識を習得すると同時に、それぞれを専門的に深く学ぶという盛りだくさんな内容である。工学部であれば、電気工学、機械工学、構造工学のみならず、熱流体力学や構造設計、情報工学等の授業もある。経済学部ではミクロとマクロ経済学に加え、政治や経済の歴史等あらゆる観点からの勉強をする。他の大学に比べて勉強量が非常に多い上、一学期が8週間と学期が非常に短いため、より一層密度が高いプログラムになっている。

ケンブリッジ大学の講義数は全体的に他校と比べると非常に少ないと言ってもいいだろう。もちろん学年や時期によって多少異なるものの、これはケンブリッジでの「教育」の概念に基づくものだと思う。講義は、アイデアや方向性を把握するためだけのものであり、「独学」という理念がこの大学では浸透しているのだ。

そのため、講義で勉強内容をすべて伝授してもらえるとは限らない。講義でどの分野を勉強するかを方向付けてもらった上で、それを元に文献を読みながら学問への知識を深めるという独学のスキルを身につける。こうして、学生は学問への関心を高めると同時に知識を自ら身につけていく術を学んでいくのだ。入学するにあたり面接やテストによって選び抜かれた生徒たちの最大の共通点は、学問に対しての興味・関心が広くて深いことである。ケンブリッジの学生は皆、自分の学んでいる科目や分野を誇りに思い、「もっと知りたい」という知的欲求を糧に、日々頑張っている。