小川和也の「デジタル・ドリブン」

人工知能やロボットが人間の仕事を奪うということは、「人間にしかできない新たな仕事を担うこと」への鼓舞でもある

『デジタルは人間を奪うのか』〜その現在進行形

2014年11月22日(土) 小川 和也
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とめどなく進化を続けるデジタルテクノロジーは、われわれをどこに連れていくのか。デジタルは人間を奪うのか』(講談社現代新書)は、複雑になる一途の人間とデジタルの関係を突き詰める必要にかられて生まれた。本書にはたくさんの未来の推察が含まれているが、こうしている間にそれはどんどん現実のものとなっていく。

膨大な情報の恩恵を受けながら、情報に溺れる。人工知能がヒトの脳を超え、ロボットが多くの仕事を奪う。あらゆるモノがネットとつながり、車は自動運転になる。デジタルは脳や肉体に接近し、そして融合する。それらは人間に夢を与える革新でありながら、新たなリスクの種でもある。仮想通貨や仮想国家が存在感を増し、現実と仮想の境界線を溶かす。デジタルは、人間、そしてこの世界の可能性を拡張し、同時に侵蝕してしまう力を持つ。

『デジタルは人間を奪うのか』において言及したことは、日々現実の事象となっている。そのトピックを取り上げ、ワンポイントの考察を加えていく。

小川和也(おがわ・かずや)
アントレプレナー、デジタルマーケティングディレクター、著述家。慶応義塾大学法学部卒業後、大手損害保険会社勤務を経て、2004年グランドデザイン&カンパニー株式会社を創業、代表取締役社長に就任。西武文理大学特命教授。数々のITベンチャービジネスの立ち上げや、デジタルマーケティングディレクターとして、大手企業や行政、アーティスト等の先端的デジタルマーケティング事例を数多くつくり続けている。著書、講演、メディア出演多数。ビジネスだけではなく、デジタルと人間や社会の関係の考察と言論活動を行なっている。日本で初めて同タイトルの概念をテーマとした著書『ソーシャルメディアマーケティング』(共著・ソフトバンククリエイティブ)などを執筆。最新刊は人間に大きな恩恵をもたらす一方で不思議な違和感をも生むデジタルの不気味さといかに向き合うべきかを説いた『デジタルは人間を奪うのか』(講談社現代新書)。

【Vol.1】人工知能やロボットによって未来に奪われると予測されていた仕事が、すでに奪われ始めているという現実

最近、「オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種を徹底調査してわかった」という記事がずいぶんと話題になった。

英オックスフォード大学で人工知能の研究をおこなっているマイケル・A・オズボーン准教授などによる『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文があまりにも衝撃的であるからだ。

702の職種すべてに対し、コンピューターに取って代わられる確率が試算され、銀行の融資担当者からさまざまな職人まで、実に多くの仕事がやがて「消える職業」「なくなる仕事」として列挙されている。

この手の予見はこれにかぎらず、未来研究家のトーマス・フライ氏による「2030年雇用半減説」や、米国デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が2011年にニューヨーク・タイムズに対して語った「子供たちが大人になる頃、その65%はまだ存在していない職業に就く」という話など、いくつも存在する。

ただ重要なのは、デジタルテクノロジーの進化は想像以上に速く、それらの説が日増しに濃厚になっていることだ。

デジタルは人間を奪うのか
著者=小川和也
講談社現代新書/定価740円(税込み)

◎内容紹介◎

世の中を加速度的に変えていくデジタルは人間に大きな恩恵をもたらす一方で、不思議な違和感をも生んでいる。デジタルの不気味さといかに向き合うべ きか---。脳とコンピュータの接続、デジタル認知症、健常者の記録を破る義足アスリート、人間の仕事を奪うロボット・・・デジタルテクノロジーはわれわれをどこに連れていくのか。最新トピック満載の書。

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