十把一絡げ(じっぱひとからげ)ではない、農作物の選び方について
筆者撮影

ぐっと寒くなってきました。鍋もので食べる冬野菜がおいしい季節です。さて、今回のテーマは、消費者から見れば米や野菜の選び方、農家さんにとっては農作物のブランディングについてのお話です。

食の安心・安全に関心が高まる中、食材(農作物など)の仕入れについて情報を開示して、その姿勢をアピールする飲食店も多く見かけるようになりました。私の会社のお隣にあるグッドモーニングカフェさんでも、先日からこんな「お知らせ」が掲出されるようになりました。

ファーマーズブランドが浸透していくために

そもそも、日本における農作物のブランディングは、どのように行われてきたのでしょうか。まず、第一に安全・安心の担保がその基盤であることは間違いないでしょう。

しかし、普段、私たちがスーパーで買っている野菜は「白菜」「大根」「にんじん」「トマト」などなど、いわゆる一般名詞で取り扱われています。そこに生産者(メーカー)のブランド名はありません。これまではむしろ、流通(スーパーや八百屋さん)が品質を担保していたわけです。さらに言えば、品質を一定レベルに保ちながら、一括で大量に仕入れてさばいてきた農協を中心にしたシステムがそれを支えています。

必ず付記される情報と言えば「産地」でしょうか。特に、東日本大震災以降、産地への意識は高まりました。もともと、「魚沼産コシヒカリ」や「あきたこまち」などのブランド米のように、「産地」と「品種」をかけあわせた固有名詞化(商品名)が、農作物のブランディングの基本形です。京野菜や加賀野菜などのように「地元の在来種を産地ブランディング」で展開しているケースもあります。

わたしの友人の郡山市の農家藤田浩志さんたち「あおむしくらぶ」が展開する郡山ブランド野菜は、地元で古くから伝わる品種がない中で、200~300を超える様々な種苗の中から、郡山にあうものを自分たちで選び、育てた、新たな郡山野菜です。その数は10品に上ります。

スーパーの店頭でも、ネット通販でも、いわゆる生産者の「顔の見える」野菜や米が増えてきましたが、まだまだその比率は多くはありません。個人でもグループでもいいのですが、作り手である農家、つまりファーマーズブランドで、農作物が選ばれる機会がもっと増えることが望ましいと思います。

これまでのシステムは、日本の食を下支えしてきた優れたシステムです。但し、「平均」「均一」を良しとする取り引きですから、「じっぱひとからげ」に米や野菜を扱ってきた面も否めません。日本の消費者は、手近なところに手頃な農作物が簡単に買えるスーパーやお店が揃っているので、なかなかこだわりの野菜などが浸透しないと言われています。

農家が努力をして、高品質の作物をつくれば、それに応じた価格でしっかりと取り引きされる機会を、まずは、飲食店などのプロの料理人たちがけん引することで、ファーマーズブランドが浸透していくことを望みます。冒頭のカフェのように、そのことをお店のPRに活用することもできる時代ですから。

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