エボラ出血熱はテロリストより恐ろしい?巡礼者と入国管理者との、検疫をめぐる攻防戦

ル・モンド(フランス)より

2014年12月07日(日)
空港では発熱検査。水際で感染者を隔離する試みだが……〔PHOTO〕gettyimages

10月上旬はメッカへの大巡礼の時期だ。わずか数日でサウジアラビアには200万人が入国したという。だが「イスラム国」をめぐる緊張が中東を覆っている現在、巡礼者に紛れて移動するテロリストを警戒する必要が高まっている……と思いきや、最も警戒されているのはエボラウイルスである。エボラ出血熱が大流行しているリベリア、シエラレオネ、ギニアには、多くのイスラム教徒が暮らしている。サウジアラビアは、これら西アフリカ諸国からの巡礼者に対して入国を禁止したのだ。国境での警備も厳しい。空港からの入国者には、サーモグラフィー・カメラを用いた検査が行われている。港や陸上の出入国管理所にも、隔離室が設置された。

WHOによれば、メッカに医療センターが急遽設置され、総勢640人の医療従事者が待機しているという。市内には、スピーカーから15ヵ国語で衛生上の注意を訴える自動車が走り、巡礼者が歩くコースでは200mおきに簡易診察所が設けられた。

ル・モンド(フランス)より

だがこの策は実らず、すでに数十人がエボラ出血熱に感染したと疑われ、隔離された。入国不能なはずの国の人間が隠れてサウジアラビア入りしたためだと推定され、その数はギニア人だけで7000人以上だという。

すでにギニア政府は、「今年の巡礼は不可能だ」と国内向けに発表している。しかし、巡礼は単なる宗教的行事ではない。旅行代理店にとって重要な収入源なのだ。隣国マリでは、ギニア人の要望を受けた代理店が、マリ人名義の渡航書類を提出してビザを申請している。こうして代理店は通常より高い手数料を手にし、ギニア人はひそかに巡礼ができるというわけだ。

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