選挙
増税派たちは「解散」で総崩れ
安倍首相が削除表明した「景気条項」とは何か

長谷川 幸洋 プロフィール
増税派に勝つために解散を選んだ安倍首相                                                    photo Getty Images

安倍晋三首相が衆院解散と同時に、増税論議の根拠になった法律から景気条項を削除する考えを表明した。

この条項は景気次第で増税を先送りできる理由の1つになっているが、だからといって首相が決断すれば、それで先送りが決まるというわけでもない。ちょっと分かりにくい景気条項とは何か。あらためて論点を整理しよう。

増税停止に必要な「所要の措置」とは何か

まず景気条項はどう書かれているのか。それは増税を決めた法律(正式には「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」)の附則第18条にある。以下のようだ。

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第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度(2011年度)から平成32年度(20年度)までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

2 略

3 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前2項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
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焦点は3の最後にある「その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」という部分だ。一般には「安倍首相が増税先送りを決めれば、先送りが決まる」と思われがちだが、それは誤解である。増税を本当に停止するためには、条文にあるように「所要の措置」を講じなければならない。

では「所要の措置」とは何か。それがすなわち「増税先送り法」である。つまり本当に先送りしようと思ったら、新たに先送り法案を国会で可決成立させなければならない。首相が「先送りします」といっただけでは、まだ口約束に過ぎず、これから総選挙を経て新たな国会構成の下で先送り法案を成立させる必要がある。だから、もしも国民が増税を望むなら、増税派議員をたくさん選んで先送り法案を葬る、あるいは法案提出そのものを止めればいい(そうはならないだろうが)。

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