社長の風景

キリンビバレッジ・佐藤章社長「企画は、驚きがなければボツ!」

2014年11月30日(日) 週刊現代
週刊現代
upperline

伝説のマーケッターが社長に就任した。キリンビバレッジ・佐藤章氏(55歳)。性格はパワフルでポジティブ。缶コーヒー『FIRE』販売時には、米国の人気歌手スティービー・ワンダーに直筆の手紙を送ってCM出演を実現。『生茶』『世界のKitchenから』などの人気商品を次々と世に出し、その敏腕ぶりがNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げられるほど有名な人物だ。

* * *

さとう・あきら/'59年、東京都生まれ。'82年に早稲田大学法学部を卒業し、キリンビールへ入社。営業、商品企画部を経て、'97年からキリンビバレッジ商品企画部へ。その後、'06年にキリンビバレッジのマーケティング部長、'08年にはキリンビールのマーケティング部長に就任し、数々のヒット商品を世に出す。'14年3月から現職 ※キリンビバレッジのwebサイトはこちら

大振り

飲料は「千三つ」の市場です。毎年、数多くの新商品が出ますが、翌年も残るのは数種だけ。だから、「ある程度売れる常識的な商品」でなく「ホームランか三振」でなきゃいけない。弊社商品では『メッツコーラ』が代表格です。開発当時は「トクホ(特定保健用食品)といえばお茶」が常識で、市場には多くの商品がありました。だから、あえて誰も想像していなかった「トクホのコーラ」にしたのです。

二極化

ヒットする商品は、必ず時代背景を捉えています。たとえば弊社は11月に『別格』という飲料ブランドを立ち上げました。価格は200円で、素材にこだわっています。『別格』ブランドの一つである「生姜炭酸」の生姜は、全国をくまなく探して見つけた最高品質のもの。また「日本冠茶」は茶葉を通常の緑茶飲料の約2・5倍使用しています。発想の原点となった時代背景は「消費の二極化」です。いま、本当に良いものを味わいたい世代の方が増えている。ならば「なぜ130円という枠に縛られなくてはいけないのか」と考え「別格」の味を求めたのです。

世界一

常に「伝説をつくりたい」と思っています。車に乗ることが好きなのですが、どうせなら乗り心地がいい革の運転席に座って、真新しいナビを使って、様々な景色を見たい。すばらしいものを味わって、商品に投影したいのです。社長になって決めたスローガンは「世界一おいしい飲み物をつくる」。シンプルで、いいでしょう?

サプライズ

就任後、宣言したことがあります。「社長になっても、先頭に立って走ります!」と言ったんです。社員たちに「世界一をつくるんだ! そのためにどうするか、みんなも考えてくれ!」と話し、商品開発担当者には「クオリティwithサプライズ」というメッセージを伝えています。企画は驚きがなければボツ! お客様は「えっ」というサプライズがなければ、商品を意識すらしてくださいませんからね。

元気! '87年、アメリカのグランドキャニオンを訪ねたときの一枚。社長になったいまも海外に、アウトドアにとアクティブに動き回っている

チームプレー

営業も「隗より始めよ」。スーパーや飲食チェーンの社長さんにも直接お会いし、トップセールスで弊社商品を紹介しています。納品が決まった時、担当の営業と「チームプレーの勝利だ!」と大喜びしていたら、ほかの営業が「俺もやってきます!」と目を輝かせて動き始めた。「『別格』をたくさん売った社員は『別格社員』とする!」などと話したら、みんな笑ってくれて(笑)。やはり人間、楽しまないと!

脳の刺激

私が元気な理由は、日々、人と会うことで自分を磨いているからです。100人と1時間ずつ話すより「この人は!」と思った方と100時間話すほうが圧倒的に意義がある。人は、自分だけの力では成長できませんからね。長くお時間をいただいているのは、たとえばクリエイターの佐藤可士和さん。(農業振興策として)農作業のユニフォームを新たに提案し、従来の農業のイメージを変えようとするなど、彼は日本全体をデザインしている。話を聞くと、脳がすばらしい刺激を受けるんです。

改善

社長就任後、全社員と会いました。全員から、期待も、要望も、さらには「もっとこうだったらいいのに」という不満まで集め、意見をすべて集約し、担当部署の人間に「直せるものはすべて検討してほしい! 会社のモチベーションを上げて行こう」と命じました。やはり、日々進歩していないと、ワクワクしませんからね!

ちなみに、多忙ですが毎日6~7時間は寝るようにしています。布団に入ったら1分で寝られますよ(笑)。

次ページ 怒り メンタルを鍛えるにはスポ…
1 2 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事