『ようこそ「多変量解析」クラブへ』
何をどう計算するのか
小野田博一=著

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数学クラブのメンバーと
「難関」多変量解析に挑む!

 多変量解析は多種多様なデータを自在に分析できる強力な統計手法。統計ソフトを前に、どの統計手法を選べばいい? どのデータから分析すればいい? 結果はどのように解釈できる? と困ったことはありませんか。計算の過程を追いながら、本質が理解できる実戦的解説書。


まえがき

「この本の著者はどんな人だろう?」と思った人は、このまえがきを見るかもしれませんので、それについて少しだけ述べておきます(というよりも、以下はなつかしい思い出話のようなものですが)。

 私の大学院は疫学教室で、私が大学院でしていたのは多変量解析だけでした。

 当時はパソコンが非常に高価なものしかない時代で、計算には大型計算センターのコンピューターを使っていました。SPSSの因子分析のメニューにはまだ直交回転しかなく、斜交回転を行なうためには自分でプログラムを書いていました。

 あるとき柳井晴夫先生(『多変量解析法J『多変量解析ハンドブック』等の著者である統計学者)に、いまどんなことをしているかを訊かれて、「斜交回転の勉強をしています」と答え(いま思うと大学院生としてはずいぶん幼稚な答えですが)、柳井先生が「直交回転ばかりのこの時代にずいぶん風変わりなことをするね」というような興味深そうな表情をなさっていたことを、まるで昨日のことのように覚えています。

──本書を書いたのは、このような著者です。

 さて、ここで、本書がどのような本であるかを紹介しておきましょう。

 本書は「多変量解析入門」の本ではありません。「多変量解析入門」を楽に読めるように、その前に読んでおくための本──あるいは、入門書を読んだけれどほとんど理解できなかった人のための本です。

 多変量解析をしたことがある人ならわかっているでしょうが、多くの人は多変量解析の理論を理解していない状態で(叙述的な説明を読んで、理論をわかった気になって、でも具体的な計算方法をまったく知らずに)、統計パッケージを使って分析をしています。とくに因子分析ではそうです。「因子分析の数学的な理論を本当にわかって使っている人は,非常に少ないのです」(松尾太加志・中村知靖『誰も教えてくれなかった因子分析』、北大路書房、2002年)。

 因子分析では、計算方法が数学的な理論そのものです。計算方法を知らなかったら、理論をわかり得ません。──と書くと、多くの人はギョッとするでしょうが、じつは理論は単純で、そのことは、行列例を使って書くとよくわかります《が、例を使わない式の形(昔の入門書の多くはこの形式)で書くと、理論は非常に難解なものに見え、人はその見かけに圧倒されて理解しようとする気をそがれます。因子分析の数学的な理論を本当にわかって使っている人が非常に少ない理由はここにあるのでしょう》。

 多変量解析の計算は、だいたいは単純な行列計算だけで(固有値計算以外は)、基本的には四則計算だけですから、中学1年生でも行なえます──が、足したり掛けたりする計算量が多いので、それを手計算で行なうのは単に時間の無駄です。それで行列計算はパソコンにまかせたほうがいいのですが、何をどう計算させるのかは単純な内容なので知っておくべきです──第一、それを知らなかったなら、多変量解析を理解できませんから。

 そういうわけで、単純な行列計算で読者が「多変量解析を具体的に理解」できるように、と出来上がったのが本書です。

 具体例であなた自身が実際に計算してみれば、多変量解析は容易にわかります。それを行なうのが本書です。

 多変量解析は楽しいものです。その楽しさを本書で十分伝えることができていることを願っています。

著者 小野田博一(おのだ・ひろかず) 
東京大学医学部保健学科卒。同大学院博士課程単位取得。日本経済新聞社データバンク局に約6年間勤務。JPCA(日本郵便チェス協会)第21期日本チャンピオン。ICCF(国際通信チェス連盟)インターナショナル・マスター。JCCA(日本通信チェス協会、旧称JPCA)国際担当(ICCF delegate for Japan)。主な著書に「論理パズル101(編・訳)』『論理パズル「出しっこ問題」傑作選』『10からの論理パズル「迷いの森」のパズル魔王に挑戦!』『超絶難問論理パズル』(以上、講談社ブルーバックス)、『数学〈超絶〉難問』(日本実業出版社)、『論理的に話す方法』『論理的に書く方法』(以上、PHP文庫)など多数。
『 ようこそ「多変量解析」クラブへ 』
何をどう計算するのか

小野田博一=著

発行年月日: 2014/11/20
ページ数: 208
シリーズ通巻番号: B1890

定価:本体  860円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)