川内原発再稼動地元同意で弾みがついた原発推進

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン vol109(2014年11月14日配信)より

鹿児島県川内原発---〔PHOTO〕gettyimages

1.田中原子力規制委員会委員長の暴言

川内原発の安全性に関して問題がどんどん大きくなっている。
九州電力は、カルデラの巨大噴火について、原発の稼働期間中に生じる可能性は十分低いという根拠のない前提を置いている。さらに、起こるとしてもちゃんと観測していればその前兆がわかって、核燃料を噴火前に運び出せばよいというとんでもない考え方を示したのだが、驚くべきことに、原子力規制委員会は、これをしっかり検証もせず、漫然と追認してしまった。

驚いたのが日本火山学会だ。火山学会の大多数の学者は、大噴火を予測することは現在の科学的な知見では困難であり、それが出来るという前提で作られている原子力規制委員会の規制基準は見直すべきだという提言を出している。

これに対して、田中俊一委員長は非常な不快感を露骨に示して、「今さらそんなことを言うのは、私にとって本意ではない」と述べた。その上で、火山学会の学者に対して、「必死になって夜も寝ないで観測して頑張ってもらわないと困る」という暴言を吐いたのである。自分が間違えたのを棚に上げて、正しいことを直言した火山学会に八つ当たりしたこの態度こそ、田中氏の本性である。

就任以来、1年間、福島のことを放置して汚染水の状況を取り返しのつかない状況にしておきながら何の反省もしない。電力会社の社長とは会っているのに、立地県の新潟県知事の泉田裕彦氏には再三の要請にも拘らず、決して会わない。それどころか、泉田氏を中傷するかのような発言までしている。

自分が答えられない質問を繰り返しする記者に対しては、回答を拒否したり、馬鹿にするような発言をする。

記者会見を見ていれば、この人は決して委員長にしてはいけない人だということが誰にでもわかるだろう。

選んだのは、大飯原発を危ないのに政治判断で動かした、バリバリの原発推進論者の民主党の野田総理。当時の環境相は細野豪志氏だ。彼らの意を汲んで田中委員長は、やみくもに再稼動に突き進んできた。

ついに再稼動が実現するという段階で発覚した大欠陥。神経質になるのはわかるが、理解できないのは、危ない原発を再稼動させて、良心の呵責を感じないのかということだ。家族にどう説明するつもりだろう。

2.志賀原発での避難訓練で避難計画の欠陥が露呈 悪天候は「想定外」!

11月2日、3日両日に行われた北陸電力志賀原発の避難訓練で、避難計画が極めて杜撰なものであることがわかってしまった。

官邸の安倍晋三首相がテレビ会議を通じて自治体に住民避難などを指示する時に一部で音声が途切れるという一幕から始まり、SPEEDIを使わない想定のため極めて重要な意味を持つ、ヘリによる空中モニタリングの訓練は「雨のため」中止となった。さらに、住民を漁船や遊覧船で避難する訓練も海が荒れたため中止。雨や悪天候はもちろん日常茶飯事。こんなことで避難ができなくなるのではお話にならない。

しかも、政府から派遣された官僚が、極めつけの発言をして、避難計画への信頼を完全に崩壊させた。

発言の主は、災害対策本部副本部長の山本哲也内閣府官房審議官。発言内容は、「想定外のことが起きるのも訓練のうちだ」というもの。悪天候が想定外と言うのだから、ほとんどの自体が想定外ということになるのであろう。

北陸電力志賀原発は、おそらく規制委の安全審査を通るのは難しいとみられているところだ。そういう意味で、避難計画にまじめに取り組む必要はないと政府が判断しているのかもしれない。

ただし、再稼動しなくても、燃料プールには大量の使用済み核燃料が入っているはずだから、やはり、真剣に考えてもらわないと困るのだが。

3.避難計画を設計基準と切り離す田中委員長の理解不足

避難計画の重要性は、川内原発や志賀原発の例を見るまでもなく、誰もが理解できるものだ。住民の安全を確保する上で、最後の砦となるのが避難計画だから、本当は、原子力規制委がその内容をチェックしないのはおかしい。

にも拘らず、規制委が頑なに避難計画への関与を拒むのは、規制委がまじめにこれをチェックしたら、動かせる原発は日本にはないということがあるからだと思われる。

もう一つ挙げられるのが、田中委員長が、避難計画が規制基準とリンクしていること、逆に言えば、避難計画とセットでなければ規制基準を決められないことを理解していない可能性だ。

各原発ごとに、避難計画の内容は異なる。原発によっては、周辺住民の避難に何日も要するところもある。ところが、今の規制基準では、人体に被害を及ぼす放射能をメルトダウンから何時間か経ったらベントによって外に排出して良いことになっている。それでは、逃げ終わっていない人々が大量に被爆してしまう。それは許されないことだから、そうであれば、ベントの設計基準を変更して、人体に影響を与えないレベルまで排出される放射能のレベルを下げることが必要となる。それができなければ、その原発は廃炉にすべきだ。

そういう連関があることを理解すれば、避難計画なしで規制基準を作ることはできないはずだし、どんな避難計画になっているのか関心も持たないということはありえないはずだ。

やはり田中委員長の資質に非常に問題があるのではないかと思わざるを得ない。

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン
vol109(2014年11月14日配信)より

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