北九州市の「工藤会」壊滅へ
行政、市民に高まる暴力追放の気運[暴力団]

厳重警戒の中、工藤会の野村悟容疑者宅に入る福岡県警の捜査員=北九州市小倉北区で9月11日

全国で唯一、暴力団対策法に基づく「特定危険指定暴力団」に指定されている「工藤会」(本部・北九州市)のトップとナンバー2が殺人罪で逮捕・起訴された。さらに、別の事件の組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)容疑で、この2人を含む幹部ら16人が逮捕された。福岡県警はトップらの逮捕・起訴を機に工藤会の壊滅を目指すが、暴力団を一掃するには住民の協力が不可欠だ。北九州市を中心に暴力団排除の気運が高まっている。

9月18日夜、北九州市小倉北区の繁華街で住民と福岡県警の警察官ら約230人が「暴力団を追放するぞ」とシュプレヒコールを上げた。この日は、1週間前に工藤会トップの野村悟容疑者(68)とナンバー2の田上不美夫容疑者(58)が殺人などの容疑で逮捕されたばかり。参加した住民は「暴力追放はこれからが正念場。警察の徹底した捜査と事件の全容解明に期待したい」と話し、複数のグループに分かれ、繁華街を巡った。

福岡県内の地方議会も相次いで暴力追放を決議している。北九州市議会は9月25日、「暴力団による凶悪事件は企業誘致や観光産業をはじめ、市の円滑な経済活動に大きなダメージを与える重大な問題。今こそ、社会全体で暴力追放を進めるための新たな一歩を踏み出す」とした決議を可決。10月にかけて福岡県議会、豊前市議会、大刀洗町議会も同様に決議した。

北九州市は人口約98万人。1901年に官営八幡製鐵所が創業し、工業地帯として日本の経済成長をけん引した時期もあったが、現在は暴力団のイメージがつきまとう。理由の一つは暴力団の関与が疑われる企業襲撃の多さだ。2006年以降、同市や福岡市で、清水建設▽熊谷組▽大林組▽戸田建設▽西部ガス▽九州電力――の工事事務所や幹部自宅への発砲が相次いだ。08年9月にはトヨタ自動車九州小倉工場(北九州市)に爆発物が投げ込まれ、工場建設を請け負ったゼネコンを名指しした脅迫状が送り付けられた。