日本の底力

震災4年目/余震の中で新聞を作る112 ~飯舘の春いまだ遠く・その4 除染の実相(上)

河北新報編集委員が記録する「被災地のジャーナリズム」

2014年11月15日(土)
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住環境の除染が進む比曽地区=9月18日

Vol.111はこちらをご覧ください。

写真文/寺島英弥 (河北新報編集委員)

119回目 ~飯舘の春いまだ遠く・その4 除染の実相(上)

〈 今年(2014年)に入ってから、いろんなことが分かってきました。また、比曽地区でも、住環境の除染が始まり、終えた場所の検証をしました。地区役員、環境省、除染事業者、村除染推進課担当が参集し、計測したデータを基に協議もしました。

結論から申しますと、はぎ取り、客土を行った平坦地はばらつきがあるものの(放射線量が)一定程度下がっていますが、法面(斜面)、いぐね(居具根=屋敷林)などは、ほとんど減少していないのが実態です。斜面は『斜面としての機能を維持する』。いぐねは『堆積物除去』という国の方針のため、放射性物質を除去できないのが現状のようです。

線量の低い場所では、それでもいいのですが、もともと高い場所は周囲の影響を受け、十分に線量が下がらないまま、『除染を終えたので避難指示を解除する』ということになってしまう可能性があります。

また、私の家のいぐねで研究をしている、帯広畜産大での調査結果をみると、杉の葉に着いたセシウムは、時間の経過とともに地面に落ち、林床土の線量が高くなっていることが報告されています。

林床土は壮齢林ほど腐葉土層が厚く、普通の農地の土壌と異なり、セシウムの吸着力が弱いと言われています。私が測定しても、下部まで高い汚染度が測定されます。堆積物の除去だけでは十分に下がりません。

現在、除染作業は、今年度に住環境、来年、再来年に農地を行う予定ですが、予定通りに進んでいません。村では除染のスピードを上げるように要望していますが、この状況では被災者のための除染や、復興のための除染にならないと感じています。 〉

9月半ば、このような手紙が届きました。二本松市内に避難中の飯舘村比曽の農家・前村議の菅野義人さん(62)がつづった近況です。

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