三浦展さん【後編】 「ビルの空室を埋めるよりも、10年先、20年先に街が元気でいるためにどうするべきか考えないといけない」
『日本の地価が3分の1になる!』著者に聞く
[左]三浦展さん、[右]藤野英人さん
カリスマファンドマネジャー・藤野英人氏が注目の新刊の著者と対談し、企画と執筆の裏側に切り込む連載「ふっしーの新刊ねほりはほり」。第三弾は『日本の地価が3分の1になる!』の三浦展さん。「街のおじいちゃん」と「地主支配国家」をもとに三浦氏が考える、これからの街のあり方とは---。<構成:田中裕子>

【前編】はこちらをご覧ください。

逃げ切ろうとする“おじいちゃん”たち

三浦 これからの街は、もう、ただ消費する場所を作るだけでは伸びません。吉祥寺がいい例です。なかなか街として客足が伸びないから、ドン・キホーテを建ててみた。けれど、ただドンキが好きだという人は、吉祥寺全体にさほどお金は落とさない。別の街にショッピングモールができれば、もう吉祥寺には来なくなる。

藤野 客層が違うから、カスタマーにはならないんですよね。この本の中にも、吉祥寺で「サイゼリヤはどこだ、しまむらはどこだ」と探している女子高生の姿が書かれていました。

三浦 「ここをどこだと思ってるんだ?」って話ですよ(笑)。吉祥寺がまた魅力的な街に戻るには、大きい建物ばっかり増やすんじゃなくて、「面白い仕事」があるからこの街で働こう、という人を増やさないといけないんです。起業して吉祥寺の空き家をオフィスにしよう、という人を。

藤野 ほほう。街づくりには「面白い仕事」、ですか。意外です。

三浦 アクティブな人っていうのは、昔はアクティブに消費していたんです。でも今は、消費へのエネルギーが新しい仕事を創ることに向いている。

藤野 なるほど、なるほど。「アクティブなエネルギー」が消費から創造に向いているというのはたしかに肌で感じます。
 

日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機』
著者= 三浦展、麗澤大学 清水千弘研究室
光文社新書 / 定価950円(税込み)

◎内容紹介◎

杉並区71%減、渋谷区70%減、新宿区51%減、横浜市66%減、大阪市61%減、仙台市68%減、名古屋市60%減、福岡市67%減・・・人口減少に歯止めがかからず、消滅の可能性がある都市が指摘されるなど、日本衰退の危機感は増す一方。生産年齢人口(15~64歳)が減り、経済も下向き、住宅地価格も下がる。あなたの家は大丈夫? 全国1730市区町村の「現役世代負担率」(20~64歳に対する65歳以上の割合)から予測する、少子高齢社会・驚愕のシナリオ!

⇒本を購入する AMAZONはこちら / 楽天ブックスはこちら

三浦 逆に、アクティブじゃない人が今は消費をしているからUNIQLOなどファストファッションが売れるんです。みんなと同じでも、どこでも手に入るものでも、安いからよしとする。逆に、アクティブな人は新しく仕事を創りたがる時代だから、少ない初期費用で仕事を始められる街に人が流れていく。

昨日も北千住に行ったんですけど、どんどん若くてアクティブな人が増えていますよ。逆に杉並は高齢者ばっかり増えている。

藤野 北千住の街づくりについては知らなかったので、この本を読んで驚きました。ちょっと前までは「ダサい街」だったので。逆に、杉並はオシャレで若い人が多いところ、というイメージでした。

三浦 杉並は、昔から住んでいる人が現状を把握していないんです。「ダサい」「治安が悪い」というネガティブなイメージにつきまとわれていた北千住と違って、危機感がゼロなんです。

藤野 感覚が昔のままなんでしょうね。

三浦 マンションの理事会も自治体も商店街も、危機感を持たないと10年後にはダメになります。特に高齢の男性は水道管の破裂でもないかぎり、絶対に動かないですね。

だいたいの人は「オレは女房に看取られて死ぬだろう。あとのことは知らん」と思っている。逆に、女性は「私の介護はどうなるんだろう?」と考えているから、保険や福祉、住宅、次の世代についても興味があります。

藤野 ああ、そうかもしれませんね。おばあちゃんは比較的フレキシブルだし、新しいものにも興味を持ちます。

三浦 そうそう。一方でおじいちゃんは現状維持で逃げ切ろうとするわけです(笑)。でもそうなると世の中が動きにくくなるんですよ。政治と同じです。空き家をシェアハウスやコミュニティカフェにしようと言うと、おばあちゃんは「面白いわね!」と乗り気になります。駅前まで行かなくても家の近くにカフェができるのはいいわ、と喜ぶ。けれど・・・。

藤野 男性は「そういうわけのわからないことはしなくていい」と言うわけですね。

三浦 そう。それなのに「あとのことは知らん」なんて、困ったものです。世代交代を待っていたら遅いので、高齢男性の言うことは無視した方がいい(笑)。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら