三浦展さん【前編】 「これからは、土地をどう所有しているかではなく『どう利用しているか』の価値を計らないといけない」
『日本の地価が3分の1になる!』著者に聞く
[左]三浦展さん、[右]藤野英人さん
カリスマファンドマネジャー・藤野英人氏が注目の新刊の著者と対談し、企画と執筆の裏側に切り込む対談連載「ふっしーの新刊ねほりはほり」。第三弾は『日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機』の三浦展氏。団塊ジュニア世代が相続人となる2040年、いったい日本に何が起こるのか? 投資、街づくり、働き方---人口と地価をベースにさまざまな話が飛び出した。<構成:田中裕子>

人口が減ると、東京の地価も下がっていく

藤野 僕が気になった新刊著者に会いに行く企画、第三弾は『日本の地価が3分の1になる!』の三浦展さんです。今日はよろしくお願いします。

この本のタイトルを目にしたとき、「これは衝撃的だなあ」と思ったんです。いまはサラリーマンがマンション投資をしてどんどん大家になる時代なのに、地価が3分の1になったら投資の意味がまったくない。慌てた人もたくさんいるのではないでしょうか。

三浦 投資の意味がないどころか、大損です。昨日家を買って、今日この本を買った、という人はショックを受けるでしょう(笑)。

藤野 でも、中を読んでみるととても論理的で、衝撃的に見えたタイトルがものすごく説得力を持っていることがわかりました。日本の人口が減っていくというのは周知の通りで、それはつまり、土地の需要が減るということ。経済の現象として価格も下がるのは必然だ、と膨大なデータで示しています。

とかく物議を醸しそうなタイトルと内容ですが、この本を書こうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
 

日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機』
著者= 三浦展、麗澤大学 清水千弘研究室
光文社新書 / 定価950円(税込み)

◎内容紹介◎

杉並区71%減、渋谷区70%減、新宿区51%減、横浜市66%減、大阪市61%減、仙台市68%減、名古屋市60%減、福岡市67%減・・・人口減少に歯止めがかからず、消滅の可能性がある都市が指摘されるなど、日本衰退の危機感は増す一方。生産年齢人口(15~64歳)が減り、経済も下向き、住宅地価格も下がる。あなたの家は大丈夫? 全国1730市区町村の「現役世代負担率」(20~64歳に対する65歳以上の割合)から予測する、少子高齢社会・驚愕のシナリオ!

⇒本を購入する AMAZONはこちら / 楽天ブックスはこちら

三浦 麗澤大学の清水千弘先生の人口と住宅地価格の相関性に関するプレゼンテーションを聞いたとき、「これは面白い、世に問うべきだ」と思って、すぐに出版社に提案したんです。僕は将来予測を仕事にしているわけですが、人口減少、少子高齢化の影響をより多角的に予測し考えなければいけないといつも考えています。

藤野 多角的に?

三浦 はい。人口と紐づいて変動する数値はたくさんありますから。GDPはもちろんですが、今回はそのなかでも特に影響を受けるであろう住宅地の価値についての予測を試みたということです。

藤野 なるほど。

三浦 あと、僕はずっと「東京はこの先どうなるのか」ということを考えてきているんですね。2年前に書いた『東京は郊外から消えていく!』(光文社新書)では東京圏の人口減少について言及しましたが、今回の本では、日本全体の人口予測をベースに「この先いったいどうなるのか」を予測したので、いわば、前作の続編のような位置づけですね。

藤野 僕はこの本を読んで、「東京都内、23区内でも地価が下がる」ということに純粋に驚きました。地方はなんとなくわかっていましたが、正直、少なくとも神奈川や埼玉ぐらいまでは持ちこたえるだろうと思っていたので・・・。

三浦 いま現役世代が多いということは、やがて彼らが歳を取って急速に高齢者が増えていくのは必然ですよね。本書では2040年までの人口と地価を取り上げていますが、東京の地価の下落率は2040年に向かうにつれどんどん大きくなるでしょう。現役世代が少なくなればなるほど、土地の需要は減り、地価も下がっていくはずなので。

藤野 三浦さんはこの本で「現役世代負担率」という概念を用いていらっしゃいますよね。この数値予測から地価を試算されていますが・・・。

三浦 「65歳以上の高齢者1人あたりを15~64歳の現役世代何人で支えているか」という数値ですね。日本全体で見ると、2010年は現役世代10人で高齢者3人を支えればよかったのが、2060年には10人で8人になります。そうなるともう、住民税をせっせと納めても医療や福祉に使われて、建物の補修や道路の整備、図書館の運営などにカネが回らなくなる。

藤野 う~ん、そうですね。

三浦 その問題を解決するには若い人を増やすしかない。けれど、日本全体で人口が減っているわけだから、若い人が住みたくなった地域が生き残り、そうでない地域は、極端に言えば、消えていく。

藤野 増田寛也さんの『地方消滅』(中公新書)では、子どもを産める若い女性が地方から東京に出てきた結果、必然的に地方に子どもが産まれず人口が減っている、ということを言っています。

増田さんがおっしゃっている「そもそも地方に若者がいない」ということと、三浦さんの「日本の地価が下がっていく」というのは表と裏ですよね。

三浦 東京の人口が減っていくと言うと、「じゃあ地方から東京にまた若者を呼べばいいじゃないか」と言うのんきな人もいるんですが、それはもう不可能ですよ。増田さんが指摘するように、地方の若者の絶対数が減っているわけですから。

藤野 あとは外国人に頼るしかない、と。

三浦 そうです。観光に来てお金を落としてもらうばかりでなく、外国人に、住んで働いてもらわなきゃいけないでしょうね。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら