IBMが開発したクイズ王「ワトソン」はビジネスに使えるか?
小林 雅一 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

IBMがAIコンピュータ「ワトソン」の商用化に並々ならぬ意欲を見せている。クラウド・コンピューティングの波が産業界全体へと押し寄せるなか、同業他社との差別化を図る上で「AI(人工知能)」を切り札にするつもりだ。

●"Does Watson Know the Answer to IBM's Woes?" MIT Technology Review, November 5, 2014 

ワトソンはAI技術の中でも、いわゆる「自然言語処理」と「機械学習」を最大の特徴とするコンピュータだ。つまり人間の話す言葉を理解すると同時に、サーバーに保存された大型データベースやインターネット上に散在する膨大なデータを分析・学習して賢くなる。

たとえば患者を診断中の医師が、病気の症状をワトソンに普通の言葉で伝えると、ワトソンが医療関係の学術論文を大量に漁ってきて分析し、それに基づいて「どうもこの病気かもしれませんよ」と医師にアドバイスする。そんな形で使われることを想定している。

ウィンドウズやアンドロイドと同じ位置付け

このワトソンをIBMは顧客に「売る」のではなく、クラウド型のサービスとして提供するつもりだ。そこにおけるワトソンは一種のAIプラットフォーム、つまり人工知能を備えた基本ソフト(OS)という位置付けになる。

このAI-OSを使って、企業各社が何か画期的なアプリやサービスを開発するというスタンスだ。つまりパソコン産業におけるマイクロソフトの「ウィンドウズ」、あるいはモバイル産業におけるグーグルの「アンドロイド」と同じ役割を、今後のクラウド産業における「ワトソン」に担わせようとしている。

これを受け、既に米国ではニューヨークにある癌治療専門の病院、ユーザーに健康情報を提供するベンチャー企業、さらに旅行会社などがワトソンを業務に導入したり、ワトソンを使ったアプリやサービスの開発に乗り出している。

日本企業もワトソンに関心を示している。今年10月、IBMが「ワトソンの多言語化の一環として、日本語対応基盤をソフトバンクと共同開発中」と明かしたのに続き、つい先日はみずほ銀行と日本IBMが「ワトソンを来年中に銀行のコールセンター業務に導入したい」とする計画を発表した。

みずほ銀行の場合、コールセンター業務を丸ごとワトソンに任せるというより、電話オペレーターが利用者からの質問に答える際、ワトソンを利用して必要な情報を検索するといった「人と機械との共同作業」を考えているようだ。

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