カンボジアとインドから、子どもが売られない世界をつくる
かものはしプロジェクト代表・村田早耶香氏に聞く
photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

インドの州都ムンバイにある窓から光が差し込むこともない不衛生な小さな部屋。インドの西ベンガル州南24区の農村地域に両親と兄、4人の弟、3人の妹と暮らしていたサリナ(仮名)は、17歳のとき、従妹に売られ、ここに放り込まれた。

農作物の不作が続き、両親が働き通しでも3食食べることができず、お腹を空かす弟と妹たちのためにも出稼ぎに出ようと思っていたときだった。従妹から「いい働き口があるよ」と言われ会いに行くと、差し出された飲み物で気を失い、目が覚めたときは電車のなかだった。隣にいた知らない男に抵抗すれば暴力をふるわれ脅される。そして、売春宿に連れていかれた。

その日からサリナはこの闇のような部屋の中から一歩も外へ出ることもできず、ひたすら客を相手に性行為を強要された。

photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

「子どもが売られる問題」に真正面から取り組む

2006年に発表された国連事務総長の「子どもに対する暴力に関する調査」によれば、2000年の推定で、世界で18歳未満の子ども約180万人が性産業やポルノに関わらされ、約120万人がサリナのような人身売買の被害に遭っていた。確実な数字はわからないものの、今でも毎年、推定100万人の子どもが売春、ポルノといった性産業に従事させられているという。

この「子どもが売られる問題」に真正面から取り組んでいるのが認定NPO法人「かものはしプロジェクト」。2002年、当時大学生だった村田早耶香さん、青木健太さん、本木恵介さんの3人が任意団体として発足させ、2004年9月から特定非営利活動法人として、より被害が深刻であったカンボジアを拠点に活動してきた。2012年からはインドにも活動を広げている。

かものはしプロジェクトが発足し10年以上が経った今、共同代表の村田早耶香さんにこれまでの活動を振り返りながら、現状の課題と今後の取組みについて話を聞いた。

左から青木健太さん、村田早耶香さん、本木恵介さん

「この問題が根深いのは、子どもたちの将来、人生そのものを奪ってしまうことなんです。16~17歳の少女だけでなく、5歳ほどの幼児さえも被害に遭っています。信じられないけれど、現実です。しかも、身体を売ることになってしまった子どもたちは、汚らわしいと自分を責め、村にも戻っても差別を受け、身体的のみならず精神的にも生涯にわたって大きな傷を負うことになります。最悪の場合、HIV感染によって命が絶たれてしまうことさえあります」

活動の始まりは、村田さんが大学2年時にNGOが主催するスタディツアーで東南アジアを訪れ、施設でHIVに母子感染した5歳の少女と出会ったことだった。少女の母親は貧しく売春宿で働いた後、HIVに感染し亡くなっていたのだ。母子の人生を奪った「児童買春」。村田さんは、事実を知ったその日から、子どもが売られる問題をゼロにするための取組みを重ねている。

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