総額100億円アップル社を訴えた 日本の中小企業島野製作所「下請け」だからって、ナメるなよ 絶対に負けられない戦いがある

2014年11月12日(水) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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アップルは現在、時価総額約6200億ドル(約67兆円)、'14年9月時点で1828億ドル(約19兆円)の売上高を誇り、従業員8万人を有する、言わずと知れた世界有数の大企業だ。今年9月に発売されたiPhone6およびiPhone6 Plusの販売台数が3日間で1000万台を突破するなど人気はいまだに衰えていない。

島野はなぜそのような「IT業界の横綱」を訴えるという行動に出たのか。

島野とアップルの関係は、'06年から始まっている。当時のアップルの状況を楽天証券アナリストの今中能夫氏が語る。

「アップルはiPhoneを発売した'07年から現在の大躍進が始まっています。iPhoneやiPodを作るため多くの日本の中小企業が技術力を買われて下請けとして潤った。その時は、アップルに感謝している企業も多かったんです」

島野もアップルの急成長の恩恵を被った企業のひとつだった。アップルは島野に対して、高品質な部品を継続的に量産できるよう品質管理体制を構築することを要請し、島野も多大な設備投資を行ってそれに応じてきた。

だが、'12年8月から両社の関係はこじれていく。突如、新製品用のピンの発注量が激減したのだ。

島野の担当者はアップルにその理由の説明を求めた。だが、ただ「ピンが使われる電源アダプタの需要が大幅に減ったため」と答えるだけだった。これについて島野側は訴状で次のように記している。

〈もっとも、実際にはMagSafe2(編集部註:電源アダプタ)の需要が大幅に減少したなどという事実はなく、被告(アップル)が他のメーカーに類似製品を製造させたことが原因である〉

両社の間には、「類似製品の開発などを行わないという合意」があった。にもかかわらず、他メーカーに発注先を変えたということは、島野独自の技術が流出した疑いがあることを意味する。これは特許権侵害にあたる。島野の抗議に対し、アップルは「設計図が違うため、合意違反には当たらない」と答えたという。

島野は、発注の停止により、大量の在庫を抱え、生産ラインを停止する事態にまで追いこまれた。翌'13年5月、事業の継続のため、以前からアップルに執拗に要求されてきたピンの代金の「減額」にも応えざるをえなかった。

巨象とアリの戦い

しかし、事態はさらに悪化していく。アップルは減額だけでは飽き足らず、「取引を再開したければ、すでに納品しているピンの在庫分についてのリベートを払え」と要求。つまり、アップルが持つ在庫の購入時の価格と、減額要求で求められた価格との差額に在庫数をかけた、約159万ドル(当時のレートで1億6000万円)を、島野はアップルに支払えというのだ。

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