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「第3のビール」「発泡酒」の大幅値上げ計画が進行中 財務省とビール各社それぞれの思惑

週刊現代 プロフィール

一方できついのは、第3のビールの比率が最も高いサントリー。サントリーは日本で初めて発泡酒を発売しながらも、財務省による相次ぐ増税で発泡酒市場が縮小したことで、発泡酒市場から撤退した過去もある。そのため、社内では「『悪夢が再び』という声も出ている」(サントリー社員)。

しかも、この10月1日にはビール、発泡酒、第3のビールなどの事業を分社化してサントリービールという会社を新設したばかり。「さあこれから」というタイミングだけに、出端をくじかれる格好になりそうだ。

「ただ、サントリービールの水谷徹社長はウイスキー部長時代に『角ハイボール』ブームに火をつけたヒットメーカーだけに期待は高い。水谷社長の高級ビール『ザ・プレミアム・モルツ』を主軸に攻めていく経営方針には、今回のビールの減税は追い風になる。第3のビールの落ち込みをプレモルでどこまで挽回できるか。その手腕が見物です」(サントリーの取引先業者)

ビールメーカー各社が、個別に財務省と「情報交換」を行っているのは業界の常識。そこで、業界全体としては足並みが揃っている振りを装いながらも、自社に有利な方向に税制改正を進めようと、「抜け駆け」をする動きも予想される。

実際、民主党政権時代には、キリンが政府に「自社に有利、他社に不利」な税制改正案を提案し、アサヒ、サントリー、サッポロの顰蹙を買ったこともある。「今回はなりふり構わぬ机の下の足のけり合いが展開されるかもしれません。抜本的な税制改正となるため、改正の内容如何では業界地図が塗り替わりかねないインパクトを持ちますから」と前出・大手小売チェーン幹部は不気味な予測を語る。

もちろん財務省はメーカー同士の腹の探り合いを利用、業界に「分断工作」を仕掛けるはずだ。

それぞれの思惑がうごめく酒税戦争。いまその幕が、切って落とされた。

「週刊現代」2014年11月15日号より