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「第3のビール」「発泡酒」の大幅値上げ計画が進行中 財務省とビール各社それぞれの思惑

週刊現代 プロフィール

「ビール系飲料の税率を一本化するにしても、税率が高止まりになるのでは困ります。段階的に一本化するといっても、では発泡酒、第3のビールは毎年上がるんですかという話になる。我々の主張は昔から変わっておらず、一番飲みやすいものに重税感があってはならないというものです。そもそもビールの酒税は、ほかの酒と比べてあまりに高すぎます。結局、お客様にとってどのような税制であるかが一番重要で、お客様がたくさん飲んでくれる環境を整えることが大事なのです。その点は主張していきたいと思っています」

しかし、そんなメーカーや消費者の切実な想いなどどこ吹く風。今回の増税構想に前のめりで、やる気満々なのが「増税王」財務省である。

実は財務省にとって、発泡酒と第3のビールの増税は長年の悲願。虎視眈々と狙っていた増税を、このタイミングで実行に移そうとしているのには姑息な思惑がある。

「今冬には政府が消費税を10%に引き上げるかどうかの判断が下されますが、実は財務省はこれを『好機』と捉えています。というのも、消費税を増税しようとすれば、メディアはそのことばかりを報じる。その騒動の裏で発泡酒や第3のビールをこっそり増税しても、あまり目立たないと踏んでいるのです」(酒税に詳しいビール業界関係者)

「極ZERO」騒動の内幕

財務省は、用意周到に好機を自ら演出したフシもうかがえる。

財務省の管轄下にある国税庁が、今夏に引き起こした『極ZERO』騒動がそれだ。

事の経緯を振り返ると、極ZEROはサッポロビールが昨年発売し、大ヒットしていた第3のビールだった。しかし、今年1月に国税当局からサッポロ側に連絡が入り、その製造方法に関して情報提供するように照会してきたことを契機に事態が急変。極ZEROが第3のビールに該当しない可能性が出てきたとして、サッポロは極ZEROを一旦終売、発泡酒として出直す決断を迫られたのである。

「業界では前代未聞の事態として話題になりました。特に不可解だったのは、なぜ突然のタイミングで国税が極ZEROにケチをつけたのかということです。しかし、いま思えば、今回の税制改正に向けた『見せ球』だったとも考えられます。極ZERO騒動を機に、ビール系飲料の酒税体系の複雑さを世間にアピールできたからです。その上で今回、『複雑な税体系をわかりやすくする』ともっともらしい理由をつけて、増税に持ち込もうとしているわけです」(前出・業界関係者)

それにしてもなぜ、財務省は発泡酒、第3のビールを狙い打ちしているのか。租税法が専門の青山学院大学の三木義一教授は、「財務省の常套手段です」としてこう指摘する。