小川和也の「デジタル・ドリブン」

小川和也×福岡伸一 【後編】
「無数のドットを組み合わせることで、人間はこれからもいろんなものを生み出していく」

2014年11月12日(水) 小川 和也
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[左]福岡伸一さん(生物学者)、[右]小川和也さん(グランドデザイン&カンパニーCEO)

【前編】はこちらをご覧ください。

情報を知識として再編成するプロセス

小川 僕は「人間は考える葦である」という言葉が好きですが、生まれたときからインターネットがあったデジタルネイティブにとっては、無限の物語の存在に気づくことは案外難しい環境になっているかもしれません。疑問があればその都度検索すればいいので、便利で時間もショートカットできるわけですが、それと比例的に知識化や思考の時間が増えているとは言い難い。

著書の『デジタルは人間を奪うのか』の中でも言及していますが、たとえば卒論の素材を集めやすくなった一方で、その分思考する時間に充てているかというと、必ずしもそうとはいえない。デジタル化によって論文の質が高くなったとか、研究が進んだとか、そういう話は意外と聞こえてこない。

その理由を僕なりに考えると、便利になったことで、情報を知識化することと思考のバランスが少し崩れかけているような気がします。検索して情報は入手しやすくなったけれども、それは知識化ではない。脳の中にある一定量知識化されたものがないと、ひらめきは生まれにくい。人間は考える葦なのに、デジタルによって必ずしもその特性が伸張されていないことに僕は危惧を感じています。これからデジタルとどのように対峙すればよいのか。人間が問われているのではないかと思うのです。

福岡 「情報の知識化」というところで、「知識化」はどういう意味でしょうか。

小川 たとえば「外部脳」などと言われることもありますが、要は情報のデータベースにアクセスする手段があるから細かいことは覚える必要がない。多くの情報をデジタル上の外部脳に託すことで、情報を頭の中で体系化し、知識として再編成するプロセスが希薄になっている気がします。

福岡 なるほど。
 

デジタルは人間を奪うのか
著者= 小川和也
講談社現代新書/定価740円(税込み)

◎内容紹介◎

世の中を加速度的に変えていくデジタルは人間に大きな恩恵をもたらす一方で、不思議な違和感をも生んでいる。デジタルの不気味さといかに向き合うべきか---。脳とコンピュータの接続、デジタル認知症、健常者の記録を破る義足アスリート、人間の仕事を奪うロボット・・・デジタルテクノロジーはわれわれをどこに連れていくのか。最新トピック満載の書。

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