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安倍政権の命運と尖閣はどちらが重い!? 日中首脳会談実現のために日本が犯した、取り返しのつかない"オウンゴール"
〔PHOTO〕gettyimages

北京APEC(アジア太平洋経済協力会議)において、安倍晋三首相と習近平主席の日中首脳会談が実現した。これは主に、安倍首相側が切望していたものだった。

だが、日本がこの会談を実現させるために「失ったもの」は大変大きいと言わざるを得ない。

自国の主張を百パーセント通すことはあり得ないが

習近平主席は就任以来、一貫して次の2点を日本に要求してきた。

1.首相・外相・官房長官が靖国神社を参拝しない。
2.釣魚島(尖閣諸島)は中日双方が領土を主張する紛争地であることを日本が認める。

これに対し、安倍首相の主張は、以下の通りだった。

1.自分が靖国神社を参拝するかどうかは明言しない。閣僚には参拝に関して強制しない。
2.尖閣諸島は争う余地のない日本固有の領土であり、そこには領土問題は存在しない。

加えて、安倍首相は「前提条件なしの日中首脳会談」を主張していたのに対し、習近平主席は「この2点が事前に認められない限り首脳会談は行わない」という立場だった。

この安倍首相の2点の主張は、日本としては当然のものだ。

だが一般に外交交渉というのは、自国の主張を百パーセント通すことはあり得ないから、中国側との折衝において、いささかでも日本が妥協できるとしたら、それは1の方だと私は思っていた。それは主に、4つの理由による。

第一に、靖国問題は「歴史問題」と言われるように過去の問題である。第二に、歴代の首相を見ても、靖国神社に参拝した首相もいれば、参拝することを拒否した首相もいた。すなわち、日本国内においても論争になっている問題である。第三に、昨年末に安倍首相が靖国神社を参拝した際、アメリカ政府が「失望した」とコメントを出すなど、同盟国との関係も悪化した。第四に、来年は終戦70周年であり、日本は戦略的に、中国が欧米諸国(ドイツ・イタリアを除く)と組んで「反ファシズム勝利70周年」と大々的に宣伝攻勢をかけるのを避けたい。

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