牧野 洋の「メディア批評」
2014年11月07日(金) 牧野 洋

アップルCEOの歴史的カミングアウトをベタ記事扱いにした全国紙のニュース感覚

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「ゲイを誇りに思う」がNYタイムズのビジネスセクション1面の大半を埋めている

「世界で最も影響力ある経営者」による告白

新聞社の編集部門を見ると、驚くほど同質的・閉鎖的である。社会の価値観がどんどん多様化しているにもかかわらず、幹部の顔触れは「中年・日本人・男性・プロパー」と四拍子揃っている。

7月11日公開の当コラムでも書いたように、これではセクハラヤジを聞いて「こういうことを言ってはいけないのか」と驚く人が出てきてもおかしくない。同様に、「世界で最も影響力ある経営者」によるゲイ(同性愛者)の告白を耳にしても「だから何なの?」と黙殺する人が現れてもおかしくない。

その場合、同質的・閉鎖的要素をもう一つ加え、「中年・日本人・男性・プロパー・ストレート(異性愛者)」としなければならないだろう。ここでのストレートには、職場ではゲイであることを隠す自称ストレートも含む。

「世界で最も影響力ある経営者」とは、米アップルの最高経営責任者(CEO)を務めるティム・クック氏のことだ。株式時価総額で世界最大を誇り、米フォーチュン誌による「最も尊敬される企業」ランキングの首位に付けている先進的企業の経営トップであるから、「最も影響力ある」と呼ばれる。

54歳の誕生日目前に独身のクック氏がゲイであることを公にしたのは10月30日。米ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌へ寄稿し、「私はゲイであることを誇りにしていますし、神から与えられた最高の贈り物の一つだと考えています」と書いたのである。

次ページ すると米主要メディアは大騒ぎし…
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