オバマ大統領から面会を拒否された
鳩山首相の迷走外交

6月訪中を秘密裏に画策中

 やや時間が経っているが、3月9日付の英紙フィナンシャル・タイムズのコメント欄に掲載された風刺マンガが面白かった。同紙と同じ英国のエコノミスト誌の風刺マンガは、世界中で読まれている。

 「Why Japan is edging closer to China」(なぜ、日本は中国に接近するの?)と題されたその絵図は、千羽鶴を手にした鳩山由紀夫首相が極細の平均棒の中心からほんの少し左に乗る「龍(中国)」側に立ち、右に乗る「鷲(米国)」側とのバランスを取っているものだ。

 鳩山政権発足時に外交・安保政策の「目玉」とされ喧伝された「東アジア共同体構想」。鳩山首相の助言者として知られる寺島実郎日本総合研究所会長(多摩大学長)の永年の主張である。

 しかし鳩山首相は、同氏が「日米同盟と東アジア共同体構想は車の両輪のような相関関係にあり、二つの展開があって始めて日本、およびアジアの安定に資すること」とも言っていることを失念してしまったようだ。

 それだけではない。私が寺島氏との長い付き合いの中で、折りに触れて聞いてきたことをまとめてみると、次のようなことだ。鳩山政権の本音は、日本の人口の8割以上が戦後生まれとなっている現実を踏まえ、日本の戦後を総括し、最も大切な米国との関係を「相互敬愛」を抱く関係へと踏み固めつつ、21世紀にふさわしい日本の国際役割を果たすことにある。

 さらに、東アジア共同体を提案している本音も、中国・韓国など近隣諸国に日本に対する歴史的不信が潜在していることを冷静に認識し、相互のプラスになるプロジェクトを積み上げ、建設的関係を段階的に実現することを目指さすことにある――。

 では、いったいなぜ、鳩山首相は「普天間問題」(沖縄県宜野湾市の普天間飛行場の移設先決定)でかくも迷走を続けるのだろうか。

 ワシントンを訪れた岡田克也外相は3月29日午前(現地時間)、国防総省でロバート・ゲーツ国防長官と会談した。その内容は同席した梅本和義北米局長が同行記者団にブリーフィングしなかったため詳細は分かっていない。

 しかし、ゲーツ長官は強い口調で改めて「operational & political sustainment」という用語を使い、米海兵隊駐留の継続性を保証するよう求めたというのだ。オバマ政権は、普天間基地移設先は'06年の日米合意の名護市辺野古沖案(その修正案を含む)から一歩も引かない構えである。

 鳩山首相は4月12、13両日、ワシントンで開かれる「核セキュリティ・サミット」(44ヶ国の首脳と国連、北大西洋条約機構、国際原子力機構が参加)に出席する。滞在中にオバマ大統領との会談を希望しているが、実現の見通しは立っていない。

 議長を務めるオバマ大統領は「日程調整が難しい」として会談に応じないとみられるが、実際には米側の対日不信が最大の理由である。オバマ政権は今、鳩山首相が参院選後に退陣を余儀なくされると冷静に分析しており、「普天間問題」は次の政権との間で決着するここになると踏んでいるというワシントン情報もある。

日中首脳の往来合戦も

 一方、官邸サイドはいま極秘裏に準備していることがある。

 鳩山首相は6月11日の通常国会終了後直ちに政府専用機で北京を訪れ、胡錦濤・国家主席(中国共産党総書記)と会談する。翌日は上海に移動し、開催中の上海万博会場の日本館で開かれる「ジャパンデー」式典に出席するという「中国公式訪問」である。

 また、5月下旬には、韓国・済州島で開かれる日中韓首脳会議に出席する温家宝首相が会議後に来日する。日中首脳の往来合戦である。

 胡錦濤政権は、2011年の辛亥革命100周年に合わせて馬英九・台湾総統の訪中を実現、さらに12年の日中国交回復40周年式典に皇太子夫妻を招き、同年秋の中国共産党大会で習近平・国家副主席の共産党総書記就任(国家主席には13年3月)を果たすうえで、現在の日中関係をさらに強固なものにしたいと考えている。

 そのためにも、「東アジア共同体構想」は勿怪の幸いなのだ。

 こうした鳩山首相の立ち位置を看破したFT紙はエスプリの効いた風刺マンガを掲載したのである。

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