賢者の知恵
2014年11月08日(土)

ビジネスで存在感を示すための「本当の英語力」とは

『外資1年目の教科書』著・福留浩太郎×中村美樹 特別対談

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〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

外資系企業に限らず、すべてのビジネスパーソンに求められる英語力。大手企業は社員の英語研修に力を入れ、英会話スクールも群雄割拠の様相です。しかし、ビジネスの現場で英語を“使いこなせている”人はどれくらいいるのでしょうか。
外資金融業界で実績を残し、現在はグローバル人材の育成に尽力する福留浩太郎氏と中村美樹氏。お二人に、これからのビジネスパーソンが身につけるべき“使える英語力”についてお話を聞きました。

(構成:服部千紗)

* * *

 

―現在、お二人は主に外資および日系大手企業を訪問されているとのことですが、社員の英語研修に関してどのような課題が挙がっていますか?

福留 大手は自社で英語研修プログラムを持っている場合が多いですが、話を聞いてみると受験英語の延長といった内容が大半です。もちろんそういった、TOEICの点数で測れるようなトレーニングも、英語力の底上げという意味では評価すべきでしょう。ただ、その英語力を実際にビジネスの場で生かせているかというと、皆さん「まだ課題が多い」と口をそろえます。特に役員や中堅層など、これから会社を引っ張っていくべき人たちのトレーニングが課題となっているようですね。

中村 私も外資系企業の人事として研修を行う中で、社員のTOEICやTOEFLの点数と、実践的な英語力とのギャップを感じることはよくありました。たとえば英語でスピーチやプレゼンをしてもらうと皆さん「そつがない」んだけど、内容に対して英語で質問されるとフリーズしてしまうんです。正直「一方的に話せても、会話にならないんじゃあねぇ・・・」って思う場面も多くて。

―中村さんが経験されてきたのは、日本のいわゆる“エリート”と呼ばれる人たちが入るような会社ですよね。それでもそんな状況なんでしょうか?

中村 ええ、皆さんTOEICのスコアはそれなりに高いし、自分で用意してきた文章は話せるんです。問題はその後。質問されたり「ここを詳しく説明して」って言われたりすると、対応できない人が意外といますね。

福留 それは、コミュニケーションにおける「相手の立場に立って物事を考える」という訓練が十分になされていないということでしょうか。そこには、一般的な英語研修だけではカバーできない問題がありそうですね。

「ボーナス」「昇進」は会議で勝ち取るべきもの

中村 おっしゃる通り、「相手がなぜ質問したのか」「何を知りたいのか」ということを把握する力が弱いんだと思います。海外の教育だと、幼い頃から自分の考えを伝えたり説明したりする機会が多いので、質問されることにも慣れてますよね。もし相手の質問の意図がわからなければ、自分から問い返すような習慣も身についている。対して日本人は、そういう双方向のコミュニケーションが苦手な人が多い気がします。

―その苦手を克服しないと、ビジネスの場でどんなデメリットがありえますか?

福留 たとえば外資系企業の人が、日本支社を代表して国際会議に出席しますよね。その議論の場で、主張したいことを伝えきれない、あるいは最低限守りたい条件などを越えて海外支社からどんどん攻め入られてしまい、日本支社にとって不利な決定事項ができてしまった場合、当然その不利益は日本の社員全員が被ります。そういうシチュエーションは意外と多いです。

―具体的に想定される不利益って、たとえば?

福留 私がいた金融業界で多かったのは、各国支社間でボーナスプールをどう配分するか、とか・・・・・・

―それ、大問題ですね(笑)。

福留 もちろんそこで黙っているマネージャーはいませんが、自国のボーナス額を勝ち取ってくるのは重要なミッションの一つですよ。

中村 あと同じくらい重要なのが、昇進を決める時ですよね。部門ごとに昇進できる人数の枠がある場合、会議の出席者は「自国の候補者がなぜ昇進するべきか」を説明する必要がある。数値的な成果は理解されやすいけど、たとえば営業マンが「いかに顧客から気に入られてそれが取引に結びついているか」という指標はどうでしょう。日本の商習慣では非常に重要な指標なのに、それを海外の、日本とは異なるマーケットで働く人たちに有効な材料として理解してもらうのは、なかなか難しいです。

福留 そうそう、文化的な違いは無視できません。会議にしても、日本では奪い合うような会議ってあまりないし、目上の人より先に発言するのも憚られる雰囲気がありますよね。

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