遠くない将来、拉致問題解決に向けての前進は必ずある

安倍晋三首相は10月30日夜9時過ぎ、首相公邸前でぶら下がり会見を行った。

安倍首相の発言をミスリードしたメディア

安倍首相はその直前、日本人拉致被害者らの再調査の現状を確認するために10月28~29日の2日間に10時間半北朝鮮特別調査委員会(委員長・徐大河国家安全保衛部副部長)と協議した日本政府代表団の伊原純一団長(外務省アジア大洋州局長)から報告を受けた。

翌日の新聞各紙報道、具体的には見出しの「違い」が興味深い。やや長くなるが、以下、各紙の見出しを紹介する。

『朝日新聞』(同31日付朝刊):「拉致、安否情報示されず―日朝協議、代表団首相に報告」、『東京新聞』(以下、同じ):「新たな安否情報なし―拉致調査、日朝協議首相に報告」、『毎日新聞』:「北朝鮮『新しい角度で』―拉致調査、政府代表団首相に報告」、『読売新聞』:「北『新しい角度で調査』―拉致実行機関も徹底的に」、『産経新聞』:「北、『過去の調査にこだわらず』―首相表明、帰国の代表団報告」、『日本経済新聞』:「拉致調査『過去にこだわらず』―北朝鮮、特殊機関も対象に」である。

この違いは、各紙の内閣記者会所属記者ではなく、政治部キャップやデスク、あるいは整理部が安倍首相の発言を、どう受け止めたかによる。

安倍首相は、次のように語った。「<前略>北朝鮮側から、過去の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていくとの方針が日本(側)に示された。調査委員会の体制や調査の方法、現状について詳しく聴取を行った。なお、(拉致を実行したとされる)特殊機関に対して徹底的に調査を行うとの説明もあった。今回の平壌(ピョンヤン)派遣で拉致問題解決に向けた日本の強い決意を北朝鮮の最高指導部に伝えた。<後略>」

この安倍発言を素直に、かつ行間を含めて読み取ると、『朝日』と『東京』の見出しの付け方はミスリードと言わざるを得ない。「過去にこだわらず」「新しい角度から」「特殊機関に対しても」の3つのフレーズは看過すべきではなく、重要な意味があると判断すべきだろう。

改めて指摘するまでもなく、「過去」とは、2002年と04年の2度北朝鮮側が日本政府認定の拉致被害者12人(生存が確認され、帰国が実現した蓮池薫夫妻ら5人を除く)について横田めぐみさんら「8人が死亡」松本京子さんら「4人は未入国」とした報告を指す。

その過去の報告(後に明らかになった他人の遺骨提供なども含めて)にこだわらず、金正恩労働党第一書記の肝いりで設置された特別調査委員会が、かつて拉致・テロ活動などを担った党工作機関も除外せず調査対象にした再調査を行っている(行う)と、徐委員長が伊原局長に伝えたというのである。それが、「新しい角度でからくまなく調査を深めていく」という安倍発言となったのだ。