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[障がい者スポーツ]
伊藤数子「アジアパラ競技大会からの教訓」

2014年11月04日(火) スポーツコミュニケーションズ

 今月行われた韓国・仁川で開催されたアジアパラ競技大会に行ってきました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今回は、大会の運営について着目してみます。この大会では、各競技会場によって、運営の仕方、大会スタッフやボランティアスタッフの様子に違いがありました。「アジア最高峰の競技大会」という競技会場もあれば、「町内会の運動会」のような、アットホームな場面もありました。

ひとつの大会に存在する複数の目的

 初日に訪れたメインスタジアムには、聖火が灯っていました。そこには「アジア最高峰の競技大会」としての誇りが映し出されていました。そのメインスタジアムで行われていた陸上競技の運営は、まさに競技大会。大会スタッフやボランティアスタッフがきびきびと行動し、選手たちのサポートをしていたのです。まさに「アジアのトップを競う国際大会」という雰囲気が醸し出されていて、いい緊張感がそこにはありました。その緊張感こそが、会場全体の雰囲気をつくり出し、最高のパフォーマンスを生み出す要因のひとつになる。改めてそう感じました。

 一方ある競技会場に行くと、その雰囲気は一転しました。各国の代表選手たちがプレーしているコートと同じフロアの端で、ボランティアスタッフが和気藹々とダンボールからお弁当を出して配っているのです。これはまさに「町内運動会」。そこに競技大会という雰囲気はなく、仲良くスポーツを楽しむ会が行われているといった感じを受けました。

 これは会場全体に現象面で現れていました。例えば、空いている観客席にボランティアスタッフがかたまって座り、くつろぐ姿がありました。ボランティアスタッフが時間を工夫して、競技を観戦するのは、彼らのモチベーションに重要なことですから、そのこと自体は決して悪いことではありません。逆に空席があるのなら、観客席を埋める役を担ってもよいでしょう。

 しかし、ボランティアスタッフのユニフォームを着用したままの観戦は、間違っています。観戦する場合はユニホームを脱いで、観客になるべきなのです。また、コートに目を向けると、線審が座っている椅子の隣に、複数の一般の人が座って観戦していたり、メディアの席に家族連れが座って食事をしていたり・・・。

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