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山口高志×江夏豊「史上最速の投手は誰か、今日こそ決めようやないか」
プロ野球スペシャル対談『君は山口高志を見たか』刊行記念 

2014年11月06日(木) 週刊現代
週刊現代
1970年代左右の速球王として活躍した山口高志氏と江夏豊氏

いつの時代もプロ野球ファンを沸かしてきた剛速球投手たち。彼らの真っ向勝負に、その直球の威力に、観客たちは胸を熱くさせてきた。では、その中で最高は誰なのか。二人の「豪腕」が語り尽くした。

球筋が見えなかった

江夏 歴代の日本人投手で最速は誰か。この問いに対しては時代によって様々な名前が挙がるから、一概に答えを出すのは難しい。だけど、「山口高志こそ最速」と言える時代も間違いなくあったよ。

山口 ありがとうございます。僕が阪急に入ったのは、'75年。江夏さんが阪神から南海へ移籍する前年ですよね。

江夏 高志のルーキーイヤーは、よく覚えているよ。「山口の球は速い」という噂は何度も聞いていたんだけど、リーグが違うから、なかなか見る機会がなかった。初めて投球を目にしたのは、その年の日本シリーズやったな。俺はラジオだったかテレビだったか、解説をやらせてもらっていて、バックネット裏から見たんや。

山口 「赤ヘル旋風」を巻き起こした、広島カープとの一戦でしたね。

江夏 正直、その速さは想像以上だった。「とんでもない奴が現れた」と思ったよ。それに、投球フォームにも驚いたね。右腕を真っ直ぐ上げ、地面にたたきつけるように振りぬく。ギッコンバッタンといった具合やな。決して綺麗とは言えないが、あのダイナミックなフォームによって、より迫力が出ていた。グワッと迫ってくるような、まさに剛速球だったわ。

山口 実はあのとき、「地の利」もあったんです。当時のシリーズはデーゲーム。かつての阪急の本拠地・西宮球場はその時間帯、照明塔の影が、マウンドと打席の間に入り込む。バッターからすると、ボールが明るいマウンドから暗い照明塔の影を通過し、再び明るいところに出てくるイメージです。その明と暗のコントラストによって、打者はボールが見えづらかった。

江夏 そこに高志のとてつもない直球が来るんやから、たまったものじゃないわな。強力なカープの打者たちが、ストレートだとわかっているのに空振りを繰り返していた。衣笠(祥雄)なんかは「見えなかった」とまで言っていたそうや。

山口 結果、4勝2分で阪急が日本一になりましたが、僕は先発・リリーフと、計5試合に投げた。1勝2セーブで、シリーズMVPまでいただきました。

江夏 ふさわしい活躍だったよ。当時のセ・リーグにも、速い球の投手はいた。でも、高志のように直球だけで押してくる投手はいなかったんだろう。

山口 全盛期の江夏さんの直球も、素晴らしかったですよ。最も印象に残っているのは、'71年のオールスターでの9連続三振です。その頃から僕にとって、江夏さんはスーパースターでした。

江夏 当時高志はまだ大学生だろう。

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