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米・欧・中・日のプロ25人が読み解いた 日本の景気と世界経済 この年末までに起きること
株価も為替も乱高下 次に来るのは「上げ」か「下げ」か
G20では各国政府間の「不協和」ばかりが浮き彫りになった〔PHOTO〕gettyimages

世界恐慌、ブラックマンデー……。歴史を振り返ると、全世界を震撼させる経済危機の多くは「10月」から始まっている。この10月から起こった市場パニックは、悪夢の前兆か、それとも—。

リーマン以上の大混乱も

急上昇と急降下を繰り返すジェットコースター相場が、世界の株式、為替マーケットを襲っている。

日本でも、日経平均株価が一日に数百円単位で乱高下。投資家たちがパニック状態に陥り、「リーマン・ショック、欧州危機に次ぐ規模の世界経済危機がやって来る」といった不吉な予測まで飛び交っている。

「世界各国が多様に絡み合うグローバル時代においては、どこかの国で起きた一つの問題が、あっという間に世界中に伝播して複雑化してしまいます。その結果、世界経済の不透明度は増し、現在のようなマネーマーケットの混乱が起きやすくなっているのです」(スタンフォード大学アジア・米国技術経営研究センターでディレクターを務めるリチャード・ダシャー氏)

実際、世界を見渡せば「爆弾」はいくつも転がっている。その一つ一つが破裂するかどうかを仔細に見極めずにして、経済の未来は読み切れないということだ。

では、世界で、日本でいまなにが起きているのか、これからどうなるのか—。本誌は米国、欧州、中国、日本の経済に精通するプロ25人に緊急取材を敢行。結果をまとめたのが次ページの表である。

まず気がかりなのは米国経済だろう。

そもそも、今回の世界のマーケットの混乱のきっかけを作ったのは米商務省が発表した小売統計だった。

米国経済はリーマン・ショックの痛手からやっと本格的に復活したと見られていたが、そこに水を差すような統計結果が発表されたことで投資家が資金逃避を開始した—というのが、日本のマスコミでよく聞かれる「解説」だが、ルービニ・グローバル・エコノミクスでシニアディレクターを務めるシェリル・キング氏はこう指摘する。

「確かに米国の小売売上高は落ちましたが、実はそれほど驚くべきことではありません。前月比でマイナスという数値でしたが、これも前月の数値が高すぎたことを思えばそれ自体は悪すぎる値ではないからです。実際、米国ではガソリン価格の下落によって、消費者が自由に使えるカネは増えている。現在の米国の購買力レベルは、米国が年間4%ほどの成長力を維持できるほど力強いのです」

では、なぜ米国株は急落したのか。ニューヨークでヘッジファンドを運営する堀古英司氏は「あくまで調整が起きただけ」と言う。

「リーマン・ショック以来、大きな調整がなかった米国の株式市場に、やっと健全な調整が起きたということです。なぜこのタイミングで起きたかというと、投資信託の決算などがあり、市場に『買い』が入りにくい状況にあったからです。調整は株式市場にはつきものなので、今回の『下げ』はマーケットが健全に機能している証拠ともいえます」

確かに、米国経済の復活を示すように、FRB(連邦準備制度理事会)は景気を下支えするために行ってきた大規模金融緩和「QE3」を10月中に終了する見込み。さらに来年にはFRBが利上げに踏み切るとの観測も出ており、これもまた米国経済の力強さを裏付けるものといえる。

一方で、経済が回復途上にある中でQE3終了&利上げに踏み切れば、再び経済を冷え込ませるリスクがあるのもまた事実。NY在住の投資銀行家である神谷秀樹氏は、「リーマン・ショック以上の大混乱が起きる危険性がある」と指摘する。

「金融の量的緩和は、『投機』には資金供給をしましたが、実体経済を回復&成長させる『投資』にはほとんど回っていません。結果、投機筋が莫大に資産を膨らませ、企業も借金しての自社株買いで株価を吊り上げた一方で、学生ローンを抱えて大学を卒業した若者たちが家も買えない。金融緩和を止めると言った時に、この矛盾をどう乗り切るのか。登った山の下り方を間違えれば、経済全体が大遭難する可能性があります」

米国経済については、金融政策転換の影響を見極めることが重要になる。

では、米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった中国はどうか。

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