企業・経営
無印良品×ライフネット生命――両トップが語る「自分の頭で考える部下」が育つマネジメントとは?
左:良品計画・松井忠三会長、右:ライフネット生命・出口治明会長兼CEO

「仕組まれた修羅場が人を成長させる。人材育成ではなく人間育成をしている」という良品計画の松井忠三会長と、「プレーイング・マネージャーにはならず、部下を信頼して仕事を任せることが大切」というライフネット生命の出口治明会長兼CEO。
ともに業界のリード企業トップであり、それぞれマネジメント関連の著書がある2人には、実のところ共通点が多い。

マネジメントの要諦は一体どこにあるのか――。部下の力をもっと引き出したい、チームの成果を最大化したいと思うビジネスパーソンにメッセージを送ってもらった。

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まず、「自分には限界があること」を知ろう。マネジメントの要諦は「上手に任せること」

松井忠三(以下、松井): 自分1人でやれる仕事というのは基本的に限られていると思うんですね。20代の頃は自分で仕事をしていくことが中心でも、そこから先はチームでやらないと、なかなか成果を出せません。

会社にはいろいろな個性が集まっているので、社員のレベルが上がれば上がるほど、チームをひとつにまとめていくのは難しくなります。そこでベクトルが合わせられず、社員それぞれがバラバラで動いているような組織は、力を打ち消し合ってしまいます。そうならないように、ひとつの方向に向かわせることができてこそ、大きな成果につなげられるのだと思います。

その中では、それぞれの社員に仕事を任せていくしかない。任せるというのはすなわち、その人に責任が出てくるということです。「任せる」のと「放任」とではまったく意味が違います。放任にならず、仲良しクラブにならずに任せていくというところに、いちばん気を遣いながら僕はやってきました。

出口治明(以下、出口): 僕が言いたかったことを全部おっしゃっていただいた感じです(笑)。

僕は歴史オタクなんですが、遊牧民の組織(モンゴル帝国など)の作り方には感心させられます。人間には物理的な「マネジメントの限界」、言ってみれば管理限界があります。1人のリーダーが何人を管理できるのかといえば、すごく細かく見ていくなら2~3人ぐらいで、大ざっぱに見るのであっても10人ぐらいが限界です。それ以上の大きい集団になったら、必ず組織が必要です。これがマネジメントの出発点だと思います。

ということは、どんなチームにもリーダーとフォロワーがいるわけです。そして、これも遊牧民から学んだのですが、「どこへ行くか」を決めるのがリーダーですね。遊牧民の場合、草のない場所へ出てしまったり、間違った谷へ紛れ込んでしまえば、命にかかわります。そのような状況で、「どこへ行くか」を決めるのがリーダーの大切な役割なのだと思います。

「どこへ向かっていくか」を「話し合い」で決めてはいけない

松井: 「どこへ行くか」を決めるのが基本的にリーダーの仕事だということは、とてもよくわかります。

「会社に議論は似合わない」と僕は思っていまして。決まった方向にどのように行くかということについての議論はいいのでしょうが、どこへ行くかという経営方針を議論で決めようとするのはよくないと考えています。どこに行くかはリーダーが決めないと、話が進みません。

出口: そう思います。リーダーに求められる資質はその一点にある気がします。