『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』『スター誕生!』テレビ界の二大巨星墜つ!
大山勝美氏と井原高忠氏の偉業を偲ぶ

TBSチャンネルより

テレビの黄金時代を築き上げた二人の偉大な制作者が相次いで亡くなった。9月14日に逝去した元日本テレビの井原高忠氏(没年85歳)と10月5日に他界した元TBSの大山勝美氏(同82歳)である。

元日テレの井原氏は『シャボン玉ホリデー』や『巨泉×前武ゲバゲバ90分』、『スター誕生!』などを手掛けたバラエティーの人。片や元TBSの大山氏は『岸辺のアルバム』や『思い出づくり』、『ふぞろいの林檎たち』などを作ったドラマ畑の制作者。ジャンルは違う。だが、ともに1950年代半ばに入社し、歴史的名番組や高視聴率番組を次々と世に送り出したところは同じだ。

この二人に憧れてテレビマンになった人は少なくない。二人が作った番組の流れを汲むバラエティーやドラマは今も放送されている。二人の存在がなかったら、今のテレビ界は少し違ったものになっていたかもしれない。

「つまらなくなった」と言われたり、若者の視聴者が減っている今のテレビ界。その理由を読み解くためにも、二人のテレビマン人生を大急ぎで振り返ってみたい。

「幸福とは何か」に挑み続けた大山氏

まず、大山氏は40作品以上を遺したが、その作品群の底流には共通するテーマがあったように思う。それは「幸福とは何か」である。たぶん、永遠に答えの出ない難問だが、大山氏はそれに挑み続けた。

あこがれ共同隊』(75年)もそうだった。郷ひろみや西城秀樹、山口百恵さん、桜田淳子や吉田拓郎ら大スターが一堂に会した作品である。逆にそれが徒となり、権利関係のクリアが難しく、いまだに再放送やDVD化がなされていない隠れた名作だ。よくぞ、こんなキャスティングが実現したものであるが、若き日の大山氏の熱意が、各プロダクションを動かしたと聞く。

ドラマの冒頭では毎回、郷によって高村光太郎の詩「天文学の話」が朗読された。

「それはずつとずつとさきの事だ 太陽が少しは冷たくなる頃の事だ---」

金曜日の午後8時台の放送ながら、国語の教科書でしかお目にかからないような光太郎の詩で始まるのだから、斬新でインパクトがあった。生真面目な大山作品らしい。

舞台は東京・原宿。主人公の郷は、大企業の御曹司だか、父親に反発し、アパレルメーカーの旗揚げを志す。そんな郷の下に、社会の歯車になりたくない若者たちが集まるが、夢はかなわず、最後は別々の道を歩む。それぞれが別の新たな夢を追い求め始める。

こう書くと、「クサイ」と思われてしまいそうだが、夢を追求するのは若者たちにとって当たり前のことであり、それを大山氏は愚直に描いた。途中で夢を諦める場合もあるだろうが、最初から夢を持たない若者は昔も今もいない。

この作品ではさまざまな若者が登場したが、誰の生き方や夢が正しかったのかは分からないまま。「生き方や夢に正解はない」という大山氏のメッセージが暗に伝わってきた。若者たちに向けたドラマだったが、大人たちの胸にも響いた。幻の作品なのに、名作として語り継がれているのも頷ける。

ちなみに山田パンダが歌った主題歌「風の街」は大ヒット。このドラマによって、原宿の認知度は飛躍的に高まり、この街に憧れる若者が急増した。幼い視聴者だった小泉今日子もその一人とされている。このドラマによって原宿が若者の聖地になったと言っても過言ではない。

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