イスラム国に憧れる若者たち 人を殺しても「戦場なら無罪」という論理 「自分探し」で海外に渡り、見ず知らずの他人を撃つ

2014年11月06日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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日本から出すな

欧米人の傭兵には、かつて戦った敵国の政府や、場合によっては自国の政府に命を狙われたり指名手配され、追いつめられて殺害された者もいる。一方で、日本人の傭兵にはそうした前例がほとんどない。今回、大学生らが「私戦予備」という耳慣れない容疑で聴取を受けたのも、それ以外に適用できそうな法律がなかったということの証だ。

日本人の若者が「自分探し」と称してイスラム国に参加し、罪もない人を殺したと海外メディアで報じられる。日本政府も警察も右往左往し、何の打つ手もない。何食わぬ顔で帰国したその若者は事情聴取を受けるものの、証拠もないためすぐ釈放。ただただ世界中の非難ばかりが日本国民に殺到する—こうした悪夢のような事態が現実になるのも、もはや時間の問題かもしれない。

「これまで海外で戦闘に加わってきた日本人には、バックパッカーのような人物もいました。現在のシリアの場合、トルコを経由すれば容易に国境を越えられるので、参加のハードルが低い。すでに、密かにシリア入りしている若者もいるかもしれません」(軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏)

ただ、そんな軽薄な若者が本当の戦場で命のやり取りに臨むことができるかどうかという話になると、甚だ疑問だ。かつてアフガン戦争やミャンマーの民族独立運動、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦に参加したことがある元自衛官の高部正樹氏は、「『極限状況に身を置きたい』などという軽い動機で戦地に行けば、絶対に後悔する」として、こう続ける。

「いくら兵士とはいっても、相手に向かって銃を撃つことに罪悪感がない人などいません。『自分の後ろに守るべき人がいる』と思うからこそ、やっていけるんです。

私も若いときには、なぜ戦場に行くのかと聞かれて『ただ戦いたかった』と答えていたことがありました。でも本心を言えば、『他の誰かを命をかけて守りたい』と考えて自衛隊に入り、『途上国の人々を理不尽な侵略から守りたい』と考えて海外の紛争に参加した。当時、西側諸国の仮想敵国とされていたソ連が相手であるという点も大きな動機でした。

何の大義や信じるものもなく、ただ『危険を味わいたい』という人は、戦地で信頼がおけません。そんな人物と一緒に戦いたいという兵士も、現地にはいないでしょう」

覚悟も信念も持たず戦いの最前線に出たところで、人質にされるのがオチだ。そんな若者を、決して日本から出してはならない。

「週刊現代」2014年11月1日号より

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