イスラム国に憧れる若者たち 人を殺しても「戦場なら無罪」という論理 「自分探し」で海外に渡り、見ず知らずの他人を撃つ

2014年11月06日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「第三次世界大戦のことしか興味が無い」

「普段から別に死んでもいいとは思っていた」

「死にたいにゃんinイスラーム国」

これは、問題となった大学生が以前インターネット上に書き込んでいた発言である。この大学生は「もしシリアで戦うことになれば、敵を殺すことになるかもしれない」という認識をほのめかしていたが、同時に現実の世の中のことを指して「フィクション」と称してもいた。

イスラム国が掲げる理念の背景には、1300年以上のイスラム教の伝統や西洋文明との対立の歴史が横たわっている。しかし、今回騒動を起こした若者たちは、どこをどう見てもそんな知識や覚悟を身に付けているようには見えない。

「今回の大学生を含め、日本からイスラム過激派に参加しようとする若者には、宗教的な動機も、政治的な動機もない。欧米からイスラム国に行く若者の多くがムスリムや移民で、米軍の空爆などに対して義憤にかられていることとは大きな違いがあります」(中東・イスラム学の専門家で東京大学先端科学技術研究センター准教授の池内恵氏)

世界情勢や歴史に対する理解もなく、義憤にかられてでも、また「誰かの役に立ちたい」という思いからでもない。ただ「日本で暮らしていてもつまらない」という程度の理由で、イスラム国に行ってみる—。件の大学生の言動は、あまりにも軽く、浅く、子供っぽい。

日本の法律で裁けるのか

今回の事件に際して、NHKをはじめ大手マスコミがこぞってインタビューを行ったのが、昨年シリアに渡航し、イスラム過激派武装組織に参加して戦ったのち、ケガのため帰国したという同じく26歳の若者だ。彼の言う「動機」も、驚くほど軽薄なものだった。

「最高に幸せになるためには何が必要であり、何が必要でないのか?一度根底に立ち返って考えたい。(中略)あえてリスクを冒しながらも自らの手で理想的な選択をしたい」(本人のブログより)

「ただ力試しをしたかった」

カッコつけたり、大げさぶってはいるが、彼の言うことを噛み砕くとこういうことだ。人生うまくいかない。自分のことをスゴイと褒めてくれる人もいない。このさい、イスラム国にでも入って暴れ回りたい。人を殺すことになっても構わない—。

しかし、現実の厳しさはそのような子供じみた「ファンタジー」と比べるべくもない。イスラム国はこれまで何回も、欧米人のジャーナリストなどを人質にとり、見せしめとして斬首する映像を公開している。流暢な英語を話すメンバーなど、人質と同郷とみられる人物に実行犯を担わせていることも判明し、全世界に衝撃が走った。

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