雑誌
ソニーをダメにした全員実名「5人の男」たち 環境が悪いのではない。組織は常に「内側」から腐る
〔PHOTO〕gettyimages

かつては世界中のファンが憧れ、心を躍らせた「SONY」の4文字。いまやその栄光はどこにも見る影がなくなってしまった。ソニーを蝕んでいったのは、他でもなくソニー内部の人間たちだった。

大赤字の「戦犯」

「ソニーがここまで凋落してしまったのは、完全に『人災』です。今の幹部の大多数は、真剣に10年、20年先のソニーのあるべき姿を考えているとは到底思えません。このままだとソニーは本当に取り返しのつかないことになるという危機感が、彼らには足りない」

こう嘆くのは、ソニー元幹部だ。

9月の会見で、'15年3月期の連結決算が2300億円もの赤字となる見通しを発表したソニー。2年連続の最終赤字を計上することが決定的になったが、さらに会見では'58年の上場以来、初の無配に転落することも明らかになり、株主の怒りと失望を買った。

今、ソニーは史上最悪と言える状況に立たされている。そのなかで、会社を立て直すべく先頭に立って社員を牽引し、鼓舞できるような経営幹部が求められている。ところが、本誌が取材してみると、今のソニーには残念ながら、そうした幹部はほとんどいないことが明らかになった。冒頭の元幹部が続ける。

「今の体たらくは、平井一夫社長の手腕やビジョン、実行力がすべて不足していることからきているのは言うまでもありません。しかし、彼以外にもソニーをダメにしていると言えるような幹部が複数いるのも事実です。あえて言えば、そのうち、5人の責任が特に重い。彼らは平井さんのもと、ソニーの中枢に居座りながら、何の実績も挙げることなく事態をここまで悪化させた、戦犯とも言うべき幹部たちです」

その5人とは誰なのか。ソニー関係者らからまず名前が挙がったのは、「エレキのソニー」復活を期待させながら、大失敗に終わったモバイル事業担当の執行役、鈴木国正氏だ。経済ジャーナリストの塚本潔氏は、こう語る。

「今回の会見でソニーが報告した2300億円の赤字のうち、実に1800億円がスマートフォン事業でのものです。携帯事業は、平井社長が就任当初から『サムスン、アップルに次ぐ世界第3位を目指す』と公言し、推進してきた事業。皮肉なことに、それが大幅な赤字を計上する直接的な要因となりました」

平井社長は会見で、スマホ失速の理由を「中国の台頭」と説明した。現在、Xiaomiをはじめとする中国産格安スマホの勢いはとどまるところを知らず、最大手の韓国サムスンさえ防戦一方の状況。そのなかでソニーは完全に「食われ」てしまった形だ。

「鈴木さんは携帯事業を展開する際、『すごいスマホ』という表現をしきりに使っていた。つまり、ソニーの持つ音楽、ゲーム、デジタルカメラなどの技術をすべてスマホ一台に詰め込もうとしたんです。当時、市販されているスマホはすでに多機能すぎて消費者にとって使いこなせないと言われていました。それにもかかわらず、マーケットに逆行するような判断を下した。その結果は、見ての通りです」(別の幹部)

実は、鈴木氏は社長就任前の平井氏の下でPC事業の柱だったVAIOを統括していた。そのVAIOは、積み重なった赤字が原因で今年2月に外部ファンド「日本産業パートナーズ」に売却している。

「鈴木さんは国内のPCビジネスが停滞しはじめ、競合他社がパソコン事業を本体から切り離し売却していたにもかかわらず、VAIOを生産し続けた。その間VAIOの在庫は増え、経営を圧迫しました。つまり彼は、スマホで失敗する前に、すでにPC事業で大失策を演じているんです」(パソコン事業に携わるソニー社員)

ライバルのパナソニックは、昨年スマホ事業から撤退し、今年V字回復を果たした。現在の両社を比較すれば、まさにハッキリと明暗が分かれた構図と言えるだろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら