賢者の知恵
2014年10月25日(土) 文/越智小枝(相馬中央病院内科診療科長)

女性が輝く気配が見られないーー医療現場から見た安倍政権「女性活用推進政策」への懸念

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福島県浜通りの人口当たり看護師数は震災前の3分の2.回復の兆しは見られない

女性が輝く気配が見られない。

安倍政権の女性活躍推進という流行語は、女性を政策の俎上に載せた、という点では評価に値する。しかし、その流行語の行きつく先は、むしろ「女性キャリア」という名の新しい男女差別なのではないか。そう懸念する女性は私だけではないであろう。

理由は大きく2つある。1つは、女性の支える職業に対する無関心、2つ目は、政府が持つ、女性キャリアに対する貧困なイメージだ。

女性を男性社会の「隙間家具」に仕立てる政策

「すべての女性が輝く政策パッケージ」(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/brilliant_women/pdf/20141010package.pdf)では、女性の少ない分野での就業支援、例えば「ドボジョ、トラーガール支援」などの謳い文句が目につく。しかし女性のポジションが増加する、ということは、すなわち他の職場での女性スタッフが不足するという事でもある。そのような社会を体現しているのが、私の住む福島県の相双地区だ。

現在の相双地区では、原発事故の影響で極端に女性の人員不足が進み、スーパーマーケットや給食センターなど、女性に支えられてきた様々な業界が廃業の危機にある。中でも医療業界は深刻だ。

意外に認識されていない事実だが、病院はスタッフの7-9割を女性が占める、女性社会である。しかし福島県へ医療支援に入る人々のうち、常勤として入る女性は男性に比べ圧倒的に少ない。短期で入る非常勤看護師に夜勤や責任の重いポジションを任せることは難しいため、重労働は自然と常勤看護師に任されることになる。

「看護師のスタッフという点で言えば、今年(2014年)が震災後の中で一番厳しい状況です」

当院看護部長の庄司幸恵氏から聞いた話だ。そういう彼女自身、ソーシャルワーカーの仕事を担当しつつ当直や外来などの穴埋めにも走る。

「地元出身の看護師を増やそう、という試みもありますが、そのための教員や実習先病院ですら確保が難しい状況にあるんです。」

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