川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

「100年後、200年後、私の刺したレースがアンティークになればうれしい」---プリンセスレース作りの第一人者・阿部薫さんに聞く

2014年10月24日(金) 川口マーン惠美
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〔PHOTO〕gettyimages

レースの起源は、中世ヨーロッパの修道女の手仕事であったらしい。美しいモチーフで作られた純白のレースは、神への捧げものとなった。

さらにさかのぼれば、庶民が袖周りのほころびを繕うのに、ほころんだ場所から糸を抜き、そこに装飾的な工夫を施したところに、レースの原型があったとも言われる。その手法はいつしか美しい手工芸として定着し、母から娘へと世代を超えて伝えられていった。

オランダの画家・フェルメールの作品に、「レースを編む女」という有名な絵がある。かつてのフランドル地方(現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部)は、中世以来、商業、経済の発達した地域で、イタリアのベニスと並んで、レース工芸も盛んだった。

レースが華美で装飾的なものに変化したのは、16世紀以降だ。当時の王侯貴族の肖像画を見ると、男も女も、首周りや襟首に、クジャクと見紛わんばかりの大仰なレース飾りを付けている。高級衣装としてのレースの価値は、以後、フランス革命まで変わることはなかった。

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