先祖返りするシリコンバレー---科学技術ビジネスに回帰する投資マネーのゆくえ
Vestaron社のトップページより

基礎的な科学技術分野へ資金が移動し始めている

シリコンバレーのベンチャー・キャピタル(VC)が、高度な科学技術をビジネス化する新興企業への投資を増額しつつあるという。ここ何年にもわたって、ソーシャル・メディアやスマートフォン・アプリなどに大量の資金が集中してきたが、これらアイディア中心の「手っ取り早いビジネス」に投資家がやや飽きてしまい、もっと「ハードコア(本格的)」な科学技術に関心を示し始めたためと見られている。

●"Venture Capitalists Return to Backing Science Start-Ups" The New York Times, OCT. 12, 2014

上記NYT記事がその具体例として列挙しているのが、蜘蛛の分泌液から環境に優しい殺虫剤を開発するVestaron、3Dプリンターを駆使して超小型衛星用のロケット・エンジンを開発するBagaveev、そして次世代の原子炉を開発するTransatomic Powerといった新興企業(ベンチャー企業)だ。

いずれも事業化が困難と見られた科学技術だけに、以前はなかなかVC投資を受けられなかったが、最近、風向きが変わってきた。たとえば今年第1四半期を見ると、Vestaronのようなバイオ分野の事業にVCから注がれた資金は前年同期比で26%増の51億4,000万ドル(約5,400億円)、またTransatomic Powerのようなエネルギー分野に注がれた資金は前年同期比で2倍以上の12億4,000万ドル(約1,300億円)を記録したという。

とはいえ、ウエブやモバイル・アプリなど(これまでのアイディア中心の)ソフトウエア分野への投資が急激に減少したわけではない。同じく今年第1四半期を見ると、ソフトウエア事業にVCから注がれた投資金額は112億ドル(約1兆3,000億円)と他を圧倒している。ただ、そこから少しづつエネルギーやバイオなど基礎的な科学技術分野へも資金が移動し始めているということだろう。

また彼らのような新興ベンチャーだけでなく、IBMやマイクロソフト、グーグルやフェイスブックといった大手企業も近年、「AI(人工知能)」のような基礎科学の研究開発に多額の資金を投じている。グーグルやマイクロソフトに至っては、モノになるかどうか分からない量子コンピュータの自主開発にも乗り出した。

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