貧乏人は裏口へ回れ!
増殖する「格差住宅」

ガーディアン(UK)より

2014年11月12日(水)
〔PHOTO〕gettyimages

最近のロンドンの集合住宅には、エントランスが二つある。一つは一般住民用、もう一つは〝貧乏人専用〟の入り口だ。

住宅不足が深刻なロンドンでは、集合住宅を新規に建てる場合は、低所得者向けの住居を一定戸数設けることが条例により義務付けられている。たとえば市中心部の外れに建つあるマンションは、ワンルームの販売価格が50万ポンド(約8700万円)は下らないという高級物件。だが、同じ棟の34%は低所得者向け に賃貸されている。

この物件を借りて住んでいるシングルマザーの女性は、引っ越してきたとき、正面玄関の使用禁止を言い渡されて驚いたと話す。正面玄関は大理石のタイル張りで、コンシェルジュが24時間体制で待機している。

一方、この女性が指定されたのは低所得者用の玄関。俗にいう「貧者のドア」だ。テナント搬入口が並ぶ脇道に面した薄暗い空間で、監視カメラが設置され、設備を破損した者は訴えると警告する張り紙がある。

ガーディアン(UK)より

マンションでホテル並みの豪華な設備やサービスを供給するには、それなりのコストがかかる。その負担を低所得の住民に強いることはできないので、苦肉の策で入り口を別にしたのだと建設業者は主張する。

だが、貧富の差を見せつける設えは、玄関だけにとどまらない。エレベーター、駐車場、ゴミ置き場や郵便受けにまで格差をつけるマンションもある。

「持てる者」と「持たざる者」をあからさまに分けるような行為は、市民に対する侮辱だとの批判もある。だが、いまやロンドンでは、裕福な住人が貧しい隣人と顔を合わせないように設計された住宅が〝標準規格〟になりつつある。

COURRiER Japon
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