青木大和「絶望世代が見る日本」
2014年10月24日(金) 青木 大和

香港の民主化を訴えるデモ「雨傘革命」の答えを見つける旅~後編~

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デモの途中に歌手が表れて皆で歌を大合唱している。スマホのライトをつけて左右にふっている。

プロローグはこちら、前編はこちらからご覧ください。

高い組織力と民度

そうこうして驚いているうちに、辺りが暗くなり夜が始まった。現地の報道などでは、20時頃から多くの若者が集って集会が行われると言われていた。僕たちもその時刻に合わせて場所を確保し、一刻一刻と時が経つのを待った。

20時に近づいてくるにつれ、人が集いはじめた。やはり大勢の人が集まってくるにつれてライブ会場を思わせた。例えばジャニーズのコンサートであれば、お客さんが自分の席が指定されたチケットを持っているため、その席へ座れば会場は綺麗に整う。しかし、このデモ会場には、そんなチケットはもちろんない。溢れる若者たちが自発的に、まるでジャニーズのコンサートのようにブロック分けをして座っていくのだ。

そして、20時に演説が始まった。

その演説の途中に、僕のいた場所の後ろの方で誰かが雨傘をさした。何かと思ったその瞬間、周りから徐々に声が広がり、演説が行われている中心にまで声が届けられた。すると演説をしている青年は、演説を中断し、マイクを片手にレスキューチームを呼び、雨傘があがったところまで綺麗に道が開き、レスキューチームが駆けつけて救出したところで、再び演説が再開された。香港の湿度の高さとあまりの人の多さに少し体調が悪くなった人がいたようだった。そんな時ですら迅速かつ当たり前のように行動を行う。

僕は、彼らの組織力、そしてその民度の高さに驚かされてばかりだった。

テクノロジーを駆使した最先端のデモの形

デモの風景をじっくりと観察していると、僕はあることに気付いた。彼らは、戦略的にメディア戦略、グローバル化に対応した他言語化、最新鋭のテクノロジー、市民ジャーナリストの活用などを駆使していたのだ。これこそが「最先端のデモの形」だと感じた。

まずは、メディア戦略。占拠しているデモのメイン会場にて、演説を行う場所は、周りが大きめの柵で囲われており、メディアと幹部しか入れないようになっている。メディアが取材をしやすい環境を整えているのだ。インターネット、テレビ、新聞などによって、今さっき起きたことであってもすぐに世界へ発信できる時代。彼らは、この時代、現場へ集まる若者を巻き込むことはもちろん、世界を味方につけることの重要性とその方法をよく理解していた。彼らがスピーチの中で話していたことがまさにその象徴だろう。

「私たちは、中国政府という大きな壁へ挑もうとしています。中国国内の問題だからと言って、中国vs香港という構図で戦うことももちろんできます。しかし、相手は、13億人と一党独裁の中国共産党なのです。だからこそこの民主化と普通選挙という問題を世界のみなさんへ伝えて世界中の人々の力を借りて前へ進んでいきたいのです」

僕は、ここでまた1つ大きな衝撃を受けた。国内の問題と対峙する際、世界へ訴えかけて世界中の味方を作っていくという考え方は僕にはなかった。世界規模で考えれば60億人以上の人口がおり、中国13億人に対しても向き合っていくことができる可能性が現実味を帯びてきたように僕自身もその場で感じたのだった。

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