「東電を解体、電力業界に新規参入」で電気料金を値下げし、国際競争力アップを図れ
「電力料金は値上げ、二次補正予算は先送り」などとんでもない
髙橋 洋一 プロフィール

  まず、4月25日付け本コラムで、頭の整理のために東電の賠償問題を政府案と違う発想で書いたら多くの方に読んでいただいたことを厚く感謝したい。

 今週10日にも閣議決定しようと、東電を温存する賠償スキームが急ピッチで進められている。17日に予定されている東電の決算に間に合わせるためといわれている。さすがに、政府内でもそのようなスケジュールありきの賠償スキーム作りに異論が出てきている。

 東電の賠償スキームそのものは単純だ。賠償は原子力損害賠償法に基づいて行われるが、これまで政府が明言しているように、同法3条但し書きによる免責が東電に適用されないので、東電が責任をもって行うこととなる。一方、東電の責任を超える部分は政府、つまり国民が負担することになるだろう。

 ということは、「賠償額=東電負担分+国民負担分」という公式が成り立つ。ここで、東電負担分は、東電のステークホルダーである株主、債権者、経営者・従業員のいずれかが負担する。また、国民負担分は、税負担か電力料金値上げになる。

東電の企業年金カットで国民負担を数千億円減らせる

 これまで報道されているものを見ると、東電負担はほとんどない。世間が求める経営者・従業員のリストラは当人たちにとっては厳しくても、その金額はそれほど大きくない。もっとも企業年金までカットできれば、東電負担を数千億程度増やすことができる。その場合、その分国民負担が減ることになるが、企業年金の話はでていない。

国会で答弁する東京電力清水社長。【PHOTO】Getty Images

 海江田万里経済相は、東電株主を救済する意向を示している。東電の個人株主は多く、天皇家もそうだといわれている。しかし、いくら優良株といっても株式は株式で、会社に何かが起こったときにはそれを負担するリスクバッファーの役割を担っている。それにもかかわらず保護されるというのは日本経済が異質であることを世界にいうようなものだ。

 もし株主に本来の役割を持たせるなら、例えば100%減資すれば、2.5兆円程度も国民負担は減少する。逆に今の政府案のようにすれば、その分国民負担が増えることになる。

 政府が株主を救済するのであれば、当然債権者も保護されるだろう。もし債権をカットすれば、その分国民負担は減る。

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