小渕経産相辞任で安倍政権への影響は? 第一次政権「辞任ドミノ」から先行きを分析する

小渕優子経産相が今日にも辞任する方向だ。支援者向けの観劇会で入場料・食事代と会費の差額が説明つかなくなっているからだ。もし事実なら、有権者への寄付を禁じた公職選挙法に抵触する話だ。

それにしても、支援者向けの観劇会とはあまりに古典的な手法だ。三世議員なので、先代から続いていた慣行だったのだろう。もっとも、小渕氏の政治資金については、ネットでも調べられるが、以前からの指摘もあった。

このタイミングというのは、小渕側で適切に対処されてこなかったことと、小渕氏のニュースバリューが上がったという両方の理由だろう。

「内閣支持率+自民党支持率」60%がボーダー

今回の小渕氏の件は、政権運営にどのような影響をもたらすのだろうか。すぐ想起されるのが、第一安倍政権の閣僚の辞任だ。

(1)2006年12月27日  佐田玄一郎行革相
(2)2007年 5月28日 松岡利勝農水相
(3)          7月  3日 久間章生防衛相
(4)          8月  1日 赤城徳彦農水相
(5)          9月  3日 遠藤武彦農水相

相次ぐ閣僚の辞任で、第一次安倍政権は退陣に追い込まれた。筆者はその当時、官邸勤務であったので、政治案件が入ると政策が一切ストップすることに歯がゆさを覚えたものだ。ただし、政治案件で政権の足元がぐらついているときには、国民は政策を聞く耳を持たないので、何を説明してもムダだった。

特によく覚えているのが、松岡農水相の自殺だ。当時、安倍首相より年金問題の特命を受け、中川秀直自民党幹事長との間で年金定期便創設とともに歳入庁構想を進めていた。事件の当日、幹事長室で中川幹事長に説明していたら突然自殺の一報が入り、もちろん説明は中断して、中川幹事長は慌ただしく対応に追われたことを鮮明に覚えている。

その後も、内閣支持率の急落などで歳入庁どころの話でなかった。年金定期便などは何とかできたが、結果として、歳入庁に至らず不完全な社保庁改革に終わったのは今でも残念だと思う。

いずれにしても、閣僚の辞任は政権にとって打撃は大きいが、辞任ごとにインパクトは異なっている。上にあげた(1)~(5)の辞任のそれぞれケースで、内閣支持率、自民党支持率はの変化は次の通りだ。

【内閣支持率】
(1)48%(2006.12)→51%(2007.01) + 3
(2)50%(2007.05)→37%(2007.06) ▲13
(3)37%(2007.06)→38%(2007.07) + 1
(4)38%(2007.07)→29%(2007.08) ▲ 9
(5)29%(2007.08)→34%(2007.09) + 5

【自民党支持率】
(1)35.3%(2006.12)→36.4%(2007.01) +1.1
(2)34.3%(2007.05)→30.2%(2007.06) ▲4.1
(3)30.2%(2007.06)→31.8%(2007.07) +1.6
(4)31.8%(2007.07)→27.7%(2007.08) ▲4.1
(5)27.7%(2007.08)→27.4%(2007.09) ▲0.3

50%を切ると政権が倒れるという永田町で有名な、いわゆる「青木(幹雄・元参院議員)の法則」での、内閣支持率+与党第一党の政党支持率(青木率といおう)は、
(1)83.3%(2006.12)→87.4%(2007.01) + 4.1
(2)84.3%(2007.05)→67.2%(2007.06) ▲17.1
(3)67.2%(2007.06)→69.8%(2007.07) + 2.6
(4)69.8%(2007.07)→56.7%(2007.08) ▲13.1
(5)56.7%(2007.08)→61.4%(2007.09) + 4.7

となっている。やはり、自殺の松岡農水相と絆創膏の赤城農水相のインパクトが大きかった。

歴代政権の青木率の推移を見ると、ほとんどの場合、発足当初に高かった支持率が時とともに低下し、40~60%程度まで下がったところで退陣している。新政権発足当初は、前政権の反動から期待が大きいが、徐々に失望に転じるからだ。

ただし、例外もあり、最近では小渕政権と小泉政権だ。小渕政権は新政権への期待感がなく、発足当初の支持率は40%程度と政権末期状態だったが、それが幸いして徐々に支持率を上げて60%以上をキープした。小泉政権は、前森政権の反動で発足当初の支持率は100%を越えていた。その後60%程度まで低下した後、電撃訪朝で70%程度まで盛り返し、その後は80~100%と高い水準を維持していた。

安倍政権について、前回の第一次は100%を越えてスタートして、1年後60%を下回って退陣した。今回の第二次政権もやはり100%を越えたスタートであったが、1年半後、まだ80~100%程度と高い水準を維持している。

こうしてみると、青木率は60%を切ると、その後の回復はまずできず、じりじりと下げて50%以下になって結局退陣に追い込まれるケースが多い。といういうことは、60%が一つのボーダーだ。

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