特別レポート 海を渡ったスポーツ天才少年たち
誰もが錦織圭になれるわけじゃない その光と影

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スポーツで海外留学—周囲の期待と憧れを一身に背負って挑戦しても、それが輝かしい成果に結びつくとは限らない。若くして可能性の限界にぶち当たってしまう経験は、人生に何をもたらすのか。

15歳では遅すぎる

今年9月8日にニューヨークで行われた全米オープンテニスの男子シングルス決勝。錦織圭(24歳)は、残念ながらクロアチアのマリン・チリッチに敗れたが、日本人として初めて4大大会の決勝に進んだことは歴史に残る快挙だった。

試合後の記者会見で錦織は、その日不在だった「ある人物」に「優勝するところを見てもらいたいから、今日は負けました」とジョークを飛ばした。

この「ある人物」とは、盛田正明氏(87歳)。ソニーの創業者の一人、盛田昭夫氏の実弟だ。日本テニス協会の名誉会長も務め、世界レベルの日本人選手を生み出すために米国への留学を支援するファンド「盛田正明テニス・ファンド」を私財を投じて立ち上げた。その盛田氏が語る。

「私はテニス愛好家として、『自分はテニスが好きだけど、日本のテニスは決して世界では強くない。ここはひとつ自分の手で子供たちをサポートして、世界のトップになれるように育ててみよう』と考えて、ファンドを立ち上げました。ソニーの共同創業者である井深大さんは『とにかく人のやらないことをやれ』というのが口癖でしたが、彼の教えを思い出して、新しいことをやろうという気持ちもありましたね」

盛田ファンドは才能のある10代前半の選手を発掘し、これまで19名を米国フロリダ州のIMGニック・ボロテリー・テニス・アカデミーに送り出してきた。同アカデミーはアンドレ・アガシやマリア・シャラポワを輩出してきた超名門だ。盛田ファンドは、錦織の他にも日本女子のナンバーワンである奈良くるみ(22歳)、9月に仁川アジア大会で優勝した西岡良仁(19歳)など優秀な選手を次々と生み出している。