賢者の知恵
2014年10月21日(火) 週刊現代

祝ノーベル賞やったぞニッポン!日本人3人の「絶妙な受賞」「微妙な関係」

赤﨑勇(名城大学終身教授)中村修二(カリフォルニア大学教授)天野浩(名古屋大学教授)

週刊現代
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かたや国立大学の「愚直な研究者」、かたや200億円訴訟で勝利を収めた「異端の研究者」。彼らに共通するのは、自分を信じる「揺るぎない信念」だ。だが、両者の間には深くて広いミゾがあって……。

この発明で世界が変わる

「受賞が決まってすぐ、赤崎先生の部屋に飛び込んでいきました。『先生、おめでとうございます!』と言って握手をさせていただいたんですが、先生は無言のまま、ニコッとされてね。実は前日、先生に『絶対、ノーベル賞は取れますよ』と申し上げていたんです」

こう喜ぶのは、名城大学教授の上山智氏だ。上山氏は名城大学終身教授の赤崎勇氏(85歳)に師事し、今回、同時受賞した名古屋大学教授の天野浩氏(54歳)とともに、名古屋大学の赤崎研究室で学んだ。

日本人3人のノーベル賞同時受賞は、久しぶりの「明るい」話題となり、日本列島が沸いた。

スウェーデン王立科学アカデミーは、赤崎氏と天野氏、そして米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏(60歳)に、青色発光ダイオード(LED)の発明を理由にノーベル物理学賞を授与。科学技術に造詣が深いノンフィクション作家の山根一眞氏が、発明の偉大さを解説する。

「LEDとは電気エネルギーを通すと光を発する半導体の結晶のことで、それ自体は'62年に発明されています。'60年代に赤と緑のLEDは開発され、早い段階で実用化ができていました。そこに青色が加われば『光の三原色』が揃い、組み合わせることで白色の照明が可能になる。そうすれば、LEDの用途が大きく広がることはわかっていた。しかし、青色LEDの開発は困難を極め、『20世紀中の実用は難しい』というのが大方の意見だったのです」

赤崎氏は'73年から松下技研で青色LEDの開発に取り組み、名古屋大学に戻った後も研究を続けた。'85年に天野氏と新しい結晶を作り出し、'89年に世界で初めて「青色の光」を灯すことに成功した。

一方の中村氏は徳島県の蛍光材料メーカー・日亜化学工業の技術者として、'88年から青色LEDの研究に着手、'93年に量産する独自の技術を確立した。

光の三原色が揃ったことで、白色のLED照明や屋外の大型ディスプレイ、スマートフォンといった電機製品が飛躍的に進歩し、私たちの生活にも大きな変化をもたらした。中村氏と親しい東北大学多元物質科学研究所教授の秩父重英氏が発明の意義を語る。

「中村氏が事業ベースで開発した青色LEDは、人類の灯りの歴史を変えたと言ってもいいでしょう。白熱灯や蛍光灯は電気をいったん熱に置き換えて間接的に発光させますが、LEDは半導体そのものが発光するので、電力の使用効率が圧倒的に違います。

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