雑誌
これは終わりの始まりか 日経「電子版」創刊に固唾を呑む新聞業界
ふらつく新聞社、壊れ始めたテレビ局
生き残れるのは読売とNHKだけ vol.1
 確信なき経営、他愛もないリストラ、読者・視聴者はそっちのけ、しらける現場―。

 いまや新聞記者を目指す学生でも、ニュースはネットで流し読みというのが珍しくない。むしろ珍しいのは、いまどき新聞記者を目指す学生のほう。読者に捨てられた新聞は、ついに紙まで捨てるのか。

読者は損をしていたのですか

 3月23日、いよいよ日経新聞「電子版」が創刊された。創刊当日は駅などで「本日解禁」と題したパンフレットをバラ撒き、翌24日の日経紙面にも、「START! Web刊」という見開き全面広告が躍った。

「もうひとつ日経新聞をつくるような、決意。」

 というキャッチコピーからは、日経首脳陣が、いかにこの電子版にかけているか、すがるような思いが伝わってくる。

 「Web刊」と名付けられれたこの電子版のウリを、パンフレットや全面広告から簡単に紹介しておこう。

 まず第一が、ネットならではのリアルタイム速報。全面広告ではこう謳(うた)っている。

「情報の入手が遅ければ、つまり、知らなければ、損をすることもありえます。(略)経済のニュース報道こそ、リアルタイムであるべきです」

 だったら、これまで紙の日経新聞を読んでいた読者は損をしていたのか、という気もするが、まぁ先を急ごう。

 第二のウリは、自分の関心のあるキーワードを登録しておくと、自動的に関連ニュースばかりを収集したり、ご親切にも読者の登録情報から興味のありそうなおすすめ記事をピックアップしてくれたりするというカスタマイズ機能。他にも紙面には掲載されないオリジナル記事や解説が読めること、携帯からもアクセスできることなどを大々的に紹介している。

 購読料は「紙」の日経新聞と併読の場合、月額5383円、電子版のみの購読料は月額4000円(いずれも税込み)。これは「紙」版の日経とほぼ同額となり、支払いはすべてクレジットカードで行われる。

 現在は4月末までのお試し期間中で、本誌も早速、「Web刊」のページにアクセスしてみた。見出しが何十本と並び、それぞれに更新時間がついているが、それを見る限り、確かに1~2分ごとに次々ニュースが発信されていることがわかる。ただ、あまりにも情報量が多くて、先に紹介したカスタマイズ機能などを使わないと、とても全部読み切れそうもない。

 また、大きく取り扱われている記事もあるが、ごく一部で、その他は同じサイズの見出しが「主要ジャンル速報」として並んでいるから、関心のある記事を探すのもそう簡単ではない。いまさらながら、24時間リアルタイムで更新される情報をすべて読もうと思ったら、こちらも24時間、画面の前に張り付いていなければならないと気づき、ボー然とした。

 日経首脳陣は、5月からの本格有料稼働に向けて、早い段階で有料登録読者を30万人にしたい考えだ。今年1月には電子版の広告営業を担うデジタル営業局も立ちあげたばかりである。

 ただ、素朴な疑問として、電子版がそんなに優れているなら、"リアルタイム"じゃない新聞を読む人は減るのではないだろうか。

 日経の若手記者は語る。

「Web刊単独の値段を4000円と高めに設定したのは、紙と併読してもらうのが基本という考えからですが、日経ブランドを過信しているように思います。実際、社内では5月の有料稼働時に紙の部数がどれくらい減るか、神経質になっています。もし紙のほうがいまより3万部減れば、収支的に電子版を創刊した意味がなくなるらしいです」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら