野球
二宮清純「野村克也“外野手出身に名監督なし”を検証する」
二宮 清純

成功の条件はセンター!?

 外野手出身者で、初めて日本一を達成した監督は2001年のヤクルト・若松勉さんです。野村さんがヤクルトの監督時代、球団社長の相馬和夫さんに「若松を指導者として育ててください」と頼まれていたそうです。

 以下は野村さんの回想です。
「だから若松には、こう言いました。“いいか、試合中、オレの傍から片時も離れるなよ。ボヤキを聞いておけ”って。若松は僕の言いつけを守って、じっと隣にいましたよ」

 若松さん以外にも、日本一を達成した日本人の外野手出身監督は2人います。10年、千葉ロッテを率いた西村徳文さんと11年の福岡ソフトバンク・秋山幸二監督です(西村さんは二塁手、秋山監督は三塁手の経験もあります)。

 この3人に共通して言えるのはポジションがセンターだったということです。若松さんはレフトでスタートしましたが、1978年、ヤクルトが初めてリーグ優勝、日本一を果たした時はセンターでした。

今季限りでの辞任を表明した秋山監督。有終の美を飾れるか

 日本一1回、リーグ優勝3回と外野手出身監督としては最高の成績を残している秋山監督はセンターの利点について以前、こう話していました。
「センターは守っていて、すごく勉強になるポジションでした。ピッチャーを真後ろから見るから、すぐに調子がわかる。今日はいいね、今日は悪いねと。
 あとバッターもね。バットの出し方、クセ、皆それぞれ違っている。インコースのボールならこっち、アウトコースのボールならこっちと、配球とバッターのクセを読んで2~3歩ずつポジションを考える。極端にいえば1球ずつポジションをかえていましたよ。
 またキャッチャーの配球もわかりますからね。1打席目はこうやって打ち取ったから2打席目はこうくるだろうな、3打席目はこうかなという具合に」

 来季は2人の外野手出身者が指揮を執ります。広島の緒方孝市監督と、東京ヤクルトの真中満監督です。2人とも本職はセンターでした。今季限りでユニホームを脱ぐ秋山監督の記録を抜き、外野手出身の名監督に名乗りをあげてもらいたいものです。