毎日フォーラム~毎日新聞社

国レベルで初の日本海震源の想定
最大23・4メートル、最短1分で到達 計画見直し迫られる自治体も[津波]

2014年10月29日(水) 毎日フォーラム
毎日フォーラム
upperline

日本海を震源とする地震による津波の想定について、国レベルとしては初の調査報告書が公表された。国土交通省などが検討を進めていたもので、最大で23・4メートルの高さに達し到達時間も早いことが明らかになった。沿岸自治体はこれを基準に津波浸水想定の設定や警戒区域を指定し、ハザードマップや避難計画などの作成を急ぐが、すでに独自に行った調査値より、今回の想定値が高く出た自治体は計画などの見直しを迫られることになり、戸惑いを隠せないようだ。

大規模な地震による津波浸水想定については11年12月に施行された「津波防災地域づくり法」に基づき太平洋側や瀬戸内海沿岸の17府県で設定している。しかし、日本海側は国として充分な検証がされておらず、沿岸の自治体がそれぞれ異なった方式で計算し、対策を立てていた。

県境付近では隣接する自治体で津波高などが全く違い、「どちらを信じればいいのか」といった混乱もあった。このため国としての統一したものを出してほしいとの要望があり、国交省と内閣府、文部科学省で「日本海における大規模地震に関する調査検討会」を設置して研究、議論を重ねてきた。

検討会では過去に発生した地震・津波の痕跡や堆積物などのデータをはじめ津波が起きる要因となる日本海の海底断層の位置、長さ、傾斜角度などを調査した。地震発生メカニズムについての最新の知見も加え、60の海底震源断層モデルを設定し、考えられる最大規模の地震(マグニチュード7・9~6・8)を想定して計算、沿岸の津波高や到達時間などを50メートルメッシュで算出した。

その結果、市町村別の最大津波高は、北海道せたな町での23・4メートルが最も高く、同神恵内村の20・3メートル、同島牧村の19・1メートルが続き、沿岸5道県の29市町村で10メートルを超える。また、居住地の多い平地では、北海道奥尻町の12・4メートルをはじめ、石川県珠洲市(12・2メートル)、北海道神恵内村(11・4メートル)、秋田県八峰町(同)の4市町村が10メートルを超えている。北海道から福井県の日本海沿岸東部地域は高いところで5メートルを超し、京都府から九州北部の日本海沿岸西部地域は最大でも3~4メートルだった。

報告書では日本海で発生する地震の特徴として(1)断層が浅くすべる角度が急なため地震の規模に比べて津波は高い(2)断層が陸地に近いために津波到達時間が早い(3)日本海海底地形の影響で東北沖で起きた地震の津波が中国地方で高くなるケースがある――などと指摘した。特に(2)では、発生断層によって異なるが、北海道稚内市、礼文町、奥尻町など北海道の6市町村をはじめ山形、新潟、富山、石川、福井の6道県の計15市町村で、高さ30センチの津波が1分で到達する、と推定した。

日本海側の津波についてはすでに多くの自治体が独自に浸水予測など調査、対策計画を作成しており、今回の調査結果で「見直しが必要になる」とするところも少なくない。

93年の北海道南西沖地震で229人の死者・行方不明者が出た北海道では、10年に津波浸水予測図を作成。太平洋側ではすでに見直しは済んでいたが、日本海側では13年3月にそれまでの浸水予測地よりも高いところで津波堆積物が見つかったことから今年から見直しを始める予定にしていた。しかし、今回、国の報告書の詳しいデータを入手して改めて見直し作業に入るという。

次ページ 最も高い津波が襲うとされた、せ…
1 2 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事