認定こども園に「認定」返上の動き 補助見直しで減収も 国の新制度がつまずく恐れ[子育て]

2014年10月18日(土) 毎日フォーラム
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公表された案に沿って、来年度以降の園の収入を試算してみると、現在の収入の約15%にあたる約5200万円もの減収となることが分かった。園長は「今と同程度の補助金がなければ、園の継続は厳しい。国はこども園の普及をはかるつもりではなかったのか」と憤る。

栃木県内のある認定こども園は、7000万円超の減収が見込まれ「このままでは破綻する」と、すでに認定こども園を返上する意思を固めたという。

「新制度では大幅な減収になる」「このままでは認定こども園を返上するしかない」。同様の悲鳴が、全国の認定こども園から上がったのをきっかけに7月、全国の345園が加盟する最大の業界団体、NPO法人全国認定こども園協会は、会員を対象に、新制度移行に向けた緊急調査を実施した。回答した181園の30%にあたる55園が「認定こども園の返上を視野に検討している」と答えた。

協会によると、返上を考えているところは大規模園がほとんどで、現在の収入の1~2割にあたる2000万円から多いところでは7000万円の減収になるとみているという。

「減収」とみる一つの理由は、新制度の導入で、補助の仕組みが変わることの影響が考えられている。認定こども園は、幼稚園と保育所が併存する形で運営されている。これまで幼稚園部分は文部科学省、保育所部分は厚生労働省と管轄が別々で、自治体を含め、補助額や補助の出し方もバラバラだった。新制度ではこれを一本化する。

一本化は二重行政を解消し、認定こども園の設置、運営をしやすくする狙いがあるが、この際、定員規模が大きいほど、園児1人当たりの補助額が減るという、これまで幼稚園側にはなかった仕組みに統一される。例えば、4、5歳児で1日4時間程度の利用者の補助額は15人定員で1人当たり約8万5000円だが、301人以上では約2万1000円になる。このため、大規模施設ほど減収になるという。

また、幼稚園と認可保育所が一体となって運営する認定こども園には現在、幼稚園側と保育所側にそれぞれ園長を置くため2人分の補助が出ているが、新制度では1人分に統一されるため、減収につながるという。

財源の問題もある。新制度では消費税増税分からの7000億円を含め1兆円超が必要とされているが、残り3000億円超の確保のめどが立っていないうえ、国は当初、幼稚園や保育所より補助の水準を優遇して認定こども園への移行を促す計画だったが、「差をつけず公平に」と訴える幼稚園や保育所の業界団体の意向に配慮し、差がつかなくなった。

全国認定こども園協会の若盛正城代表理事は「こども園構想は、十分な財源の確保も、幼保の一本化の見通しも立たないまま進んできてしまった」と訴える。

こうした事態に対し、政府は「詳しい原因は調査中」としつつも、「正しく試算できていないところが多いのではないか」とみる。内閣府の担当者は「一部の単価が低くなるからといって、人件費の追加分などトータルの収入でみれば、マイナスになることは考えにくい」と説明する。

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